結婚式を挙げることが決まった人が、まず考えなければいけないことは「時期と日取り」です。結婚式は様々な人たちに参加してもらうため、できるだけ多くの人が参列しやすい時期を選ぶことが大切です。

ただ、いったい何からどのように考えるべきなのか悩む人や、決め方に迷う人が多いです。特にこれまで、友人の結婚式に参列した経験が少ない人は、何に注意するべきかわからないことが多いでしょう。

まず、結婚式というのは参加する側にとって、スケジュールを調整したり、お祝い金を用意したり、大変な労力がいるものです。そのため「相手が迷惑に思うであろう時期」を考慮する必要があります。

また、新郎新婦や家族にも固有の都合がある場合があります。招待する側と、招待される側の状況をすり合わせながら、結婚式を挙げるのにベストな時期を考えていくことが大切です。一度、式場と日程を契約すると、余程のことがない限り変更が難しいです。

そのために「季節はいつが良いか」「何月にするか」「曜日はどうするか」を決めるにあたっての優先順位の考え方をお伝えします。

結婚式の人気シーズンとは

ここからは、まず一般的に結婚式が多く行われるか全体的にみていきます。人気のある時期にはそれなりに理由があります。実際に、結婚式が多く行われる時期は、毎年同じでほとんど変動がありません。季節でいうと、一番多いのは「秋」です。続いて多いのが「春」です。人気の理由は以下の通りです。

  • 気候の良い時期
  • 天候が比較的、安定している
  • 祝日や連休が多い

想像がつくように、暑すぎる時期や、寒すぎる時期は結婚式場の閑散期となります。大雪や台風が来る時期は交通機関が乱れやすいので避ける方が無難でしょう。また、遠方の方を招く場合は移動や宿泊のことを考えて、連休中を選ぶと参加してもらいやすいです。

以下は、結婚式が何月に多く挙げられているか、月別の割合を記したものです。

月別で見ると11月が最も多く、続いて10月が多いことがわかります。暑くもなく寒くもなくという過ごしやすい時期は、結婚式に関わらず文化行事やイベントが多いです。このように結婚式の月別による割合は毎年、ほぼ同じデータが出ています。

1月が少ない理由としては、初旬は「正月のため常識的に避けるべき」という考え方があります。また、結婚式はドレスアップして出席する場所ですので、基本的に薄着になります。そのため、気温の低い時期を避ける傾向にあります。

8月については、お盆や子供の夏休み期間であり、家族行事に対する配慮が考えられます。さらに暑すぎる時期は、ガーデンなどの屋外の挙式に向かないため不人気となっています。

ただし、暑さの問題については、例えば駅に直結したシティホテルなどであれば、駅から外に出ることなく館内に入れます。また、カジュアルな婚礼スタイルを希望する人であれば、母親や親族の女性に着物ではなく洋装で来てもらうように統一するのも一つの方法です。

しかし、閑散期にはそれなりのメリットがあります。結婚式場からすれば閑散期のお客さんは貴重なため、割引や特典が増える場合があります。それに、一日に何組も結婚式をする繁忙期と違い、スタッフに余裕があってサービスの質がより高くなる可能性があります。

以上のように全体的な傾向についてお伝えしましたが、全ての月で結婚式は行われています。それに、どの時期を選んでもメリットとデメリットは両方あります。

招待する人の都合を考慮する

このとき、時期的なメリットを検討することに加えて、他にも重要なポイントがあります。それは、招待する人たちの参加しやすい時期を考えることです。

しかし、招待する人の都合を大切にするといっても、複数の人がいるため、一人ずつ事情を考慮していては、時期を決めることができません。では、より多くの方に参加してもらうには、何を考えるべきでしょうか。

ひとつには、「友人が多い」「職場の人が多い」など、たくさん招待する人のことを優先することがあります。

・職場の人に対する配慮

職場の人を多く招く場合は、会社の繁忙期は避けたほうがいいでしょう。自分の勤務する会社なら、忙しい時期がだいたいわかると思います。また、異動の多い3月下旬は人によっては「転勤になる」「肩書が変わる」など落ち着かない時期になります。

会社に属している人の状況はさまざまです。もしわからない場合は、社会人経験の長い自分の父親や、兄、姉などに自分の会社の状況を説明して、アドバイスをもらうとよいでしょう。

・友人に対する配慮

友人の場合に配慮すべきことは、同じ友達仲間の間で結婚式がかぶったり、続いたりしないようにすることです。それぞれ事情があって仕方がない場合もありますが、同じ月に2度、3度結婚式に招待されるとお祝い金の捻出が大変になります。

さらに、自分と友人の結婚式が同じ日にかぶる場合、仲間たちがどちらに出席するかを選ばなくてはならないので注意が必要です。多いケースではありませんが、同じ年代の友人たちは同時期に結婚ラッシュになることがあります。

日程がかぶることで、花嫁になる友人との間でギクシャクと喧嘩のようになったり、後悔が残ることが実際にあります。そのため、周囲で友人がたくさん結婚していく時期に結婚する人は、できるだけ結婚式の日程が近くならないように気を付けることをおすすめします。

・親族中心の場合

親族だけの結婚式の場合は、遠方から来てくれる人の都合を考慮しましょう。自分たちではわからないことが多いかもしれませんので、お互いの両親によく確認をしてください。

特に親族の住んでいる場所が結婚式場から遠く離れている場合は、移動や宿泊で負担が少なくなるような日程の決め方を考えましょう。宿泊の場合、例えば「前日宿泊してもらう」「当日宿泊をして翌日帰るか」など、できる限りの配慮をすることが大切です。

一般的に、親族はお祝い金の負担額が大きいです。また、親には金銭的援助をしてもらう場合があります。そのため、できる範囲で配慮している姿勢を見せておくことが重要です。

結婚式は土曜日、日曜日が多い

続いて、結婚式の曜日について考えます。多くの結婚式が土曜日、日曜日、祝日に行われています。会社勤務の人や公務員の多くが土日を休日としているからです。

では、土曜日と日曜日の違いは一体どこにあるでしょうか。実は結婚式で一番好まれるのは「土曜日の午後」です。

理由は、午前中に始まる結婚式だと朝早くからの準備が大変だからです。女性は美容院で髪をセットする人がいますし、移動時間もかかります。さらに、招待した人の翌日が日曜日ですと気分的にゆっくり楽しめます。

特に結婚式の夜に二次会がある場合、午前に結婚式をすると夜まで時間が空いてしまいます。そのような理由から、土曜日の午後を選びたい人が多いのです。また、三連休で月曜日が休みになる場合は、日曜日でも同じ感覚で参加してもらいやすいです。

ゴールデンウイークなど、連休での結婚式はどうか

翌日が休日であることの心理的な参加しやすさがわかりました。では、ゴールデンウイークなど連休で結婚式をするのはどうでしょう。こうした連休としては、ゴールデンウィーク以外でもハッピーマンデー制度による三連休があります。

ハッピーマンデー制度とは国民の祝日の一部を、従来の固定日から特定週の月曜日に移動させ土曜日・日曜日と合わせた三連休にする制度です。以下の祝日が対象になっています。

  • 1月の第二月曜日「成人の日」
  • 7月の第三月曜日「海の日」
  • 9月の第三月曜日「敬老の日」
  • 10月の第二月曜日「体育の日」

このような三連休を選ぶと、多くの人により結婚式に参加してもらいやすいでしょう。ゴールデンウィークや連休はこのようなメリットがあるため、多くの人が検討したい日程となります。

平日の結婚式は非常識?平日を選ぶ人の理由

最後に、平日の結婚式についてみてみましょう。全体的にみると平日の結婚式の割合は少なく、全体の約8.8%となっています。

平日の結婚式が少ない理由として以下のことが挙げられます。

  • 多くの人に迷惑ではないか
  • 非常識だと思われないか
  • 出席してもらえないのではないか

このような懸念をする人が多いからです。では、平日の結婚式を選ぶ人はどのような人でしょうか。まず、親族のみの少人数の結婚式の場合、都合を合わせてもらいやすいことから、ゆったりした平日を選ぶ人がいます。

また、平日の方が集まってもらいやすい職種があります。

  • 美容師、理容師
  • 不動産業
  • 販売、サービス業

美容室は月曜日が休日、不動産業は水曜日が休日のことが多いです。また、販売業などの人は土日が休みにくい場合が多いでしょう。そのため、これらの職種の場合で、職場の人を多く招待したいなら平日の結婚式を選択するとよいでしょう。

周囲の人にわかりやすい理由があれば、理解が得られやすいです。しかし、明確な理由がわかりづらい場合は、非常識だと思われないか考える必要があるでしょう。

平日の結婚式のメリットとしては、平日プランというのがあります。結婚式場の稼働率の低い平日は、お得な料金プランが設定されている式場が多数あります。

例えば以下は、ある専門式場(ゲストハウス)の「平日挙式プラン30万円OFF」というプランです。

ほかには以下のような、ホテルの「平日ウェディングプラン」があります。10大特典が付くプランとなっています。ホテルは専門式場とは違い宿泊施設でもあることから、挙式当日の宿泊サービスが付くことがあります。

  • 挙式当日スウィートルームでのお支度&ご宿泊
  • ホテル特製生ウェディングケーキ
  • プラン内ドレス上限5万円アップ
  • ヘアメイクリハーサル
  • ブーケ&ブートニア(3万円相当)
  • 司会料特別50%割引
  • 上映機材一式貸出
  • ジョーゼットカーテン(50名様以上限定)
  • ご婚礼1周年記念ディナーお食事券
  • JALウェディングマイル

このように内容はさまざまですが、ほとんどの結婚式場で何らかの平日プランはあります。さらに、挙式会場や宴会場は土日には一日に数組が利用します。しかし平日は稼働が少ないので、貸し切り状態になる可能性が高く、新郎新婦やゲストにとっては非常にメリットがあります。

平日の結婚式を考える人は日程だけでなく、さまざまな特典にも注目しながら検討するとよいでしょう。

日取りについて考える

これまでは、望ましい時期や日程の選び方をみてきました。しかし都合の良さとは別に、日本には独自のお日柄という考え方があります。気にしないという人は何も問題ありません。しかし、結婚式という特別な日においては、お日柄を重視したい人がいます。

そこで、お日柄にはいったいどのような意味があるのか紹介します。

六輝(大安や仏滅など)とは何か

お日柄には物事の吉凶を判断する元となる6つの日があります。六輝(ろっき)または六曜(ろくよう)と呼ばれ、先勝、友引、先負、仏滅、大安、赤口の6つがあります。

カレンダーの日にちと一緒に、記載されているのを見たことがあると思います。以下は、六輝の意味になります。

  • 先勝(せんしょう):何事にも早く決断・実行すると良いとされる日。午前は吉、午後は凶。
  • 友引(ともびき):引き分けで勝負なしとされる日。祝事には吉、朝夕は吉。昼は凶。
  • 先負(せんぶ):早い決断・実行を避け、静かに待つのが良いとされる日。午前は凶、午後は吉。
  • 仏滅(ぶつめつ):一切が成就しないとされる日。特に新しいことを始めるには凶。
  • 大安(たいあん):何事にも成功する日。旅行・移転・婚姻・開店・その他すべてに良い。
  • 赤口(しゃっこう):祝事には凶とされる日。また火の元に気をつけろともいわれる。朝夕は凶、昼は吉。

結婚式を挙げる日に最も良いとされる日が「大安」、続いて「友引」です。特に土日で、なおかつ大安か友引の日というのは、ひと月の中で限られています。お日柄重視の人は早めにカレンダーを確認しておきましょう。

余談ですが、2010年10月10日は日曜日の大安でした。10が並ぶ語呂合わせと、日曜の大安が重なったことから結婚式においては、非常に人気の一日となりました。ここまで叶えるには運も必要ですが、こだわりのある人は前もって調べておくとよいです。

結婚式の日取りに三隣亡はタブーなのか

三隣亡(さんりんぼう)というのをご存知でしょうか? 三隣亡とは、選日(せんじつ)という十干十二支(じっかんじゅうにし)の60種類の干支(えと)の組み合わせで吉凶を占います。

その一つが三隣亡で「非常に縁起の悪い日」とされています。ひと月の間に2~4日ほど三隣亡に該当する日があります。

では、三隣亡とはどのような凶日かというと「建築において縁起の悪い日」とされています。さらに結婚式などのおめでたいときにも三隣亡を避ける傾向があります。

六輝の仏滅も、三隣亡も迷信に過ぎないものなので、気にしなければ何も問題はありません。ただ、迷信や占いは信じる人には真実に感じられるため、親族や親にお日柄を気にする人がいる場合は注意が必要です。

親族からは「わざわざ悪いとされる日を選ぶ理由がない」と反対されるケースがあります。周囲に配慮するという観点から、仏滅や三隣亡を無難に避けようと考える人がいます。

身内に不幸があり、喪中に結婚式をしてもよいか

最後に喪中について考えておきましょう。喪中とは、近しい親族が亡くなった後、しばらくの間は喪に服し、身を慎む期間です。一般的に親であれば1年間は喪中と考えられます。その間は結婚式のようなおめでたい儀式を行ったり、派手な催しに参加したりすることを控えます。

しかし、実際には結婚式の延期を検討する人がいる一方で、喪中の結婚式をする人がいます。親族が直前に亡くなった場合は、「病状や余命を把握している」「病気の本人が、結婚式は予定通りに行うことを希望していた」など事前に覚悟が決まっていることが多いです。

その場合は仮に結婚式の前に亡くなることがあっても、予定通り結婚式を挙げると決めているケースです(亡くなって49日以内を忌中と呼ぶが、亡くなった当人や周囲の強い意志による決断の事例)。

一方で延期になる人に多いのは突然の不幸の場合です。事前に覚悟が決まっている場合とは違い、「病院への搬送」「葬儀の手続き」などでは結婚式どころではなくなります。そのため、急に身内に不幸が起こることで、予定していた結婚式が延期・日程の変更になることが多いです。

一般的には喪中の結婚式は避けるべきですが、ケースバイケースですので、周囲の親族とよく話し合い判断をすれば大丈夫です。

・ゲスト(職場の上司や友人)が喪中の場合

では、招待したいと考えている人が喪中の場合はどうでしょうか。上司であれ、友人であれ、まずは招待状を出す前に口頭で「招待してもよいか」を確認をしましょう。できればメールなどではなく直接会ったとき、または電話で確認をするのが丁寧です。

相手から喪中であることを理由に、欠席したいといわれることがあります。一般常識として喪中の期間は、お祝い事に行くことは控える時期です。しかし、招待したい気持ちがあることを伝えるのは悪い事ではないので聞いてみましょう。

結婚式に出席するかどうかは、本人の意思決定次第となります。万が一、出席してくれる場合は、気持ちに感謝して精一杯のおもてなしをしましょう。

お彼岸の結婚式は大丈夫なのか

次に、お彼岸の結婚式は常識や縁起の面から大丈夫なのでしょうか。まず、お彼岸とは春分の日・秋分の日の前後3日間を含めた七日間のことを指します。先祖をうやまい、亡くなった人をしのぶ期間で、墓参りに行く人が多いです。

しかし、結婚式を挙げることについては基本的に問題ありません。お彼岸は喪中(または49日以内の忌中)とは違い、祝い事がタブーとされる時期ではありません。気になる人は親御さんがお彼岸の結婚式について反対しなければ大丈夫と考えてよいでしょう。

結婚式の日程選びで後悔しないために

さまざまな視点から結婚式の日程選びについてみてきました。特に招待する人たちの人間関係を大切にして考えることを忘れないようにしてください。日程選びにおいて、全てを満たすことは不可能です。優先順位を明確にするところから始めましょう。

それに、どんなに天候の安定した時期であっても、雨が降る可能性はあります。また、いつどこで大災害が起こるかもわかりません。人知の及ばないところは祈るしかありません。ですから、予期できる範囲のことはしっかり考えて判断をしていきたいものです。

大切なことはデータを参考にするだけではなく、あなたが招待する人たちのことを踏まえて考えることです。何を重視することが自分にとって望ましい結婚式につながるのか、優先順位を間違えないようにしましょう。

昔の結婚式ではよく「お二人は、今日を良き日と定められました」という司会の言葉がありました。それは、何であれ二人が決めたその日が最良の日だという意味です。

迷ったり、悩んだりすることがあるかもしれません。だた、あらゆる配慮をもとに、あなたが選んだ日が最良の日になると信じて、準備を進めてください。