結婚式は、人生の中で非常に高額な買い物の一つです。しかし、社会人経験が短く貯蓄がない人、妊娠していて新生活にお金を回したい人、親に頼りたくない人など、お金の事情はさまざまです。

また、実際に結婚式場と契約をして準備を進めていくうちに、見積額がどんどん膨れ上がったり、思いのほか高くなってしまったりするのを心配する人が多いです。

では、結婚式を可能な限り安く挙げたいなら、どのような注意や工夫が必要でしょうか。それは、式場探しをはじめる前から、低予算を念頭に置いて行動を開始することです。

結婚式場は平均半年以上、長い人は1年以上前から申し込みをします。準備を進める過程で、あらゆる結婚式費用の交渉や節約のタイミングがあります。

そのため、結婚式までの準備期間が非常に短い人は、安くするという点では不利になります。なぜなら、結婚式は本番の日が決まっているため、日程に余裕がなさすぎる場合、より安いものを求めて比較検討する時間がないからです。

ですから、とにかく結婚式を安く挙げたいという人は、余裕をもって式場探しをはじめるようにしましょう。

結婚式を安く抑えるコツは式場の成約前

結婚式場の成約とは、「特定の結婚式場のある日程を押さえ、正式な契約を結ぶこと」をいいます。つまり、契約を成立させる前が最大の交渉のタイミングとなります。

以下は、ホテルのブライダルサロンです。このような場所で契約を行います。

具体的に「この式場に決めるので、このくらい値引きをしてほしい」「新郎新婦の衣装と、写真カメラマンを持ち込みしたい」など、最初に希望の条件を伝えるようにします。式場側がその条件でよいといえば、その条件で契約を結べます。

式場側は少しでも多くの契約をとり、売り上げを伸ばしたいと考えています。そのため、いちばん有利に交渉ができるタイミングとなるのが「契約前」なのです。

契約時は内金に注意

内金というのをご存知でしょうか。内金とは結婚式場と正式に契約をした際に、発生する費用のことです。多くの式場で内金はかかります。金額は5~20万円程度のところが一般的です。

契約時に支払った内金は、のちに結婚式費用の総額から差し引かれます。つまり、総費用の一部をあらかじめ式場に支払うというシステムです。それでは、なぜこのようなお金が必要なのでしょうか。

式場はあなたと契約をすることで、ある日時に、その挙式会場や披露宴会場を他の見込み客に売ることができなくなります。

そのため、あなたがその後、式場をキャンセルした場合、本来なら販売できたかもしれない他のお客さんを得る機会を失うことになります。

その機会損失の穴埋めをするため、内金をいったん預かるのです。あなたのキャンセルの可能性を極力減らす意味もあります。つまり、あなたが万が一キャンセルした場合、内金は全額もしくは一部戻ってこないことになります。

契約を考える段階にきた際は、「内金の金額はいくらか」「契約後、何日までならいくら返金されるのか」など、しっかりと確認をしましょう。

一度契約したものの、もっと条件のよい式場に目移りしたり、親に反対されたりして、式場をキャンセルする人が一定数います。このとき内金は多くの場合、返金されないものと考えておく方がよいです。

しかし、契約してからキャンセルまでの日数が浅ければ、内金の返金に応じてもらえる可能性があるかもしれませんので、交渉する価値はあります。

このような、キャンセルに関する内金の問題を避ける方法として、仮契約の状態にとどめておく方法があります。契約する前に数日間だけ「一時的に仮押さえ」して、その間は内金や手付金などなしで待ってもらえることがあります。

ただ、無料で待ってもらえるのは2~3日程度の短期間です。そのため、「後どうしても一件だけ他の式場を見て考えたい」「この費用が気になるので親に相談したい」など、待ってもらいたい理由を説明し、無料で待ってもらえる日を確保するのも一つの方法です。

戻らない内金は無駄なお金になってしまいます。たまに、顧客という立場を利用して、キャンセル料の踏み倒しを考える人がいます。しかし、このようなことをすると精神的に余計な労力がかかり、式場探しに疲れてしまいます。

式場と新郎新婦のトラブルの大半は、双方の勘違いや思い込みによるものです。不明瞭なお金はその場でしっかり質問できるようにして、曖昧なまま持ち帰らないように気をつけるべきです。

このように、契約は非常に重いことを理解し、無駄なお金やリスクを極力回避しましょう。

結婚式場の見学時に意識しておきたい節約術

契約前の重要性についてお伝えしてきましたが、ここからさらにポイントとなる費用を確認していきます。

結婚式を安く挙げるために担当者に確認すべき点は、以下の通りです。

・安い時期やお日柄

結婚式には人気のないシーズンやお日柄というのがあります。例えば、シーズンなら「真夏と真冬」、お日柄なら「仏滅」、曜日なら「平日」です。

このような、人が少ない時期を選ぶと特別な割引をしてもらえたり、元から「平日のお得プラン」などが設定されていたりします。もし妥協できる条件であれば、かなり安く結婚式ができます。

・格安のパックプラン

結婚式場は、それぞれ独自のプランを3~4種類ほど用意しているところが多いです。例えば、「ベーシックなプラン」「こだわり派のプラン」「ゴージャスなプラン」などです。

当然一番下のプランが安くなります。衣装、花、料理などのアイテムをプランで設定されている中から、自由に選んでいきます。下位のプランであっても、最低限必要と思われるものは一通り含まれています。

そのため、プラン内のものを選び、オプションを加えなければ、費用のアップは防げます。

ただし、良いものを後から目にすると、ほとんどの人が目移りして「一生に一度の思い出だから」と費用をかけてしまう傾向にあります。特に女性はドレスや花などに目を奪われがちです。

その場合は、優先順位をつけてどれか一つのアイテムだけ、少し豪華にするなど考えるとよいでしょう。

・持ち込みが可能か、持ち込み料はかかるか

結婚式には、さまざまなアイテムやサービス業者が関わります。それを、自分たちで安いものやサービスを探し、持ち込むことにより、安く済ませることができます。

ただし、式場は特定の業者と取引をしているため、提携先のものやサービスを利用すると、決められている場合があります。ここで持ち込みを希望すると、別に持ち込み料金の支払いを求められることがあります。

中には、無料で何でも持ち込んでよい会場もあります。また、通常は持ち込み禁止でも、契約時の条件として交渉することで、持ち込み可能にすることができます。

さらに同じ持ち込みでも、安くすることを目的とした持ち込みではなく、「どうしても気に入って購入したドレスを着たい」「プロカメラマンをしている友人に撮影を依頼したい」など、心情的な理由を伝えることで、持ち込みを認められやすくなる場合があります。

特に写真や映像など、撮影に関するものは費用が高くなりがちです。当日撮影する人の人件費に加えて、後日データやアルバムなどを仕上げ、納品するという手間があるからです。

ただ、持ち込みを利用することでトラブルが発生した場合は、自分の責任となります。そのため、業者選びには気を付けなければいけません。そのようなリスクも考えたうえで、賢く持ち込みを利用して予算を抑えましょう。

・前撮り写真は式場に頼むと高い

前撮りとは、結婚式の当日ではなく、事前に新郎新婦(ともしくは両親など)で写真撮影を済ませておくことです。結婚式を挙げる式場とは別のロケーションや衣装で、撮影することができます。

事前に二人の撮影をしておくことで、会場のカメラマンは当日にスナップ写真と集合写真だけを撮影するため、時間的に余裕をもって過ごせます。また、前撮り写真を当日の結婚式場で飾ることができます。

前撮り写真は、結婚式をする式場でも依頼することができます。しかし、高額であることが多いため、前撮り写真は自分で手配することをおすすめします。

一般的には、特定の式場の下請けの事だけをしている専属のカメラマンより、個人でさまざまな人から撮影依頼を受けているカメラマンの方が、腕がよいといわれています。

また、「フォトウェディング」といって、結婚式をしないカップルが写真だけの結婚式を行うスタイルがあります。そのため撮影業者には、さまざまな商品やプランがあります。

・挙式スタイルを検討する

結婚式が確実に安く挙げられる方法として、挙式の種類の選び方があります。挙式の種類によっても、価格が変わってきます。主な挙式は「キリスト式」「神前式」「人前式」「仏前式」です。この中でいちばん価格が抑えられるのが人前式です。

人前式以外の挙式には、牧師や神主、僧侶などの司式者が必要です。またキリスト式では讃美歌を歌う聖歌隊などを入れると費用がかかります。

以下は、人前式の特徴である「誓いの言葉」です。自分の言葉で直接誓い、参列者に結婚の承認を得る形式です。

人前式はどんな場所でもできるため、チャペルや披露宴会場、玄関のエントランス、屋外の庭などでも挙げられます。また、司式者も披露宴の司会が行うことができるため、どこの式場でも比較的安価に設定されています。

特に挙式と披露宴を同じ部屋で行う場合、チャペル使用料を節約できるため、ほぼ無料に近い金額で挙式を挙げられることがあります。

・最終の見積金額でイメージできるようにしてもらう

見積金額については、後で大幅に値段が上がると困るので、最終の見積に近い金額を知りたいと伝えましょう。

もちろん、まだ人数が確定していない、二人の細かい希望もわからない時点で正確な金額はでません。しかし、多くの人が取り入れる人気のオプションなどを全て含めてもらい、高めに予測した価格を提示してもらえるようお願いするとよいです。

自分たちが支払う最終金額に意識をおくようにすることで、後から思わぬ金額になることを防げます。さらには、現実的な価格で他の会場と比較検討が可能になります。

また、契約に至った際には、プランナーが価格のことを把握したうえで、提案やアドバイスをしようとしてくれます。価格の上限があいまいな人には、より良さそうなものを次々と提案されます。

結果的に、より多い売り上げを達成することは、プランナーの腕であり社内評価の対象となるからです。

他の式場を検討している雰囲気を出すといい

このときは演技でもよいので、他の式場に心が傾いているという雰囲気でいましょう。「まだ何も調べていません」「よくわからない」という姿勢で式場見学に行くと、式場のやりやすい方向で全てが進んでしまいかねません。

「結婚式場をシビアに比較している」「価格の上限が決まっている」などを相手に伝わる方が、あなたにメリットのある条件で契約できる可能性が高くなります。

簡単に流されて契約しないことは、不本意な式場に後悔したり、無駄な費用に悩まされたりすることを避けるために大切です。

・知り合いが式場で働いている場合

もし、あなたの知り合いが結婚式場やホテル、レストランに勤務している場合は、非常に有利です。

ホテルの場合、たとえ別の地域にある同系列のホテルでも、その友人が宿泊部門に所属していても、スタッフの紹介割引を受けられることがあります。そのため、友人知人にホテル勤務の人がいる場合、確認してみましょう。

紹介によるメリットは値引きだけではなく、従業員間で「今日のお客様は〇〇スタッフのお知合いです」という情報共有が必ずされます。そのため、当日のサービス面でも、より丁重に扱ってもらえるという面があります。

また、自分や家族が勤務する会社によっては、会社の関係先などのホテルで「結婚式の割引制度」が受けられる場合があります。もし、このような制度がある場合、通常より安く結婚式が挙げられます。

このように、自分の身の回りで思いつく限りのコネやつながりを探し、確認してみるのは節約の方法のひとつです。思わぬメリットを提示してもらえるかもしれません。

料理と引き出物は節約しすぎない

次に、結婚式の費用の中で多くの割合を占める「料理」「引き出物」について紹介します。料理と引き出物は、招待客数にほぼ比例しています。大人数であるほど料理と引き出物の総額は高くなります。

ただ人数が多いということは、お祝い金の額(収入)が多くなるということですので、料理代の総額にあまりシビアにならず、一人当たりの単価を意識しましょう。

料理と引き出物は、招待客が直接食べたり、持ち帰ったりするもののため、あまり節約しすぎないほうが無難です。しかし、中には節約のために工夫できるポイントがありますので、参考にしてください。

・料理

コース料理であることが多いため、品数の多さとメイン料理の豪華さなどで、金額の高い低いが何となくわかってしまいます。

さらに招待客の多くは料理を楽しみにしていることが多いです。そのため、料理には比較的お金をかける人がほとんどです。

しかし、いちばん高いランクの料理を選ばなくても、できる工夫があります。

例えば、下位の料理コースを選んだとしても、メインディッシュの肉料理だけを上のランクにしたり、デザートを一品追加するなどして、満足感を高める方法があります。

・乾杯の飲み物

他には、料理と一緒に提供される飲み物があります。例えば以下は、実際の料理の発注書です。

大人1名あたり19,940円(コース料理)とフリードリンク5,400円のメニューです。ほかに、乾杯酒として12,960円のシャンパンが13本含まれています。そのため、乾杯のためのドリンクだけで、168,480円もかかっています。

ここでもし、乾杯の飲み物をビールにするとフリードリンク内に含まれているため、乾杯酒の費用をゼロにすることができます。シャンパンの方が華やかさはありますが、こだわりがなければ節約可能です。

・引き出物

引き出物とは、出席してくれた人へ感謝の気持ちを伝えるための品物です。引き出物と引き菓子を一つの袋に入れて、当日招待客に持ち帰ってもらいます。

引き出物は、料理と違い「一つの家族に一つ」が基本です。また主催者である、新郎新婦の両親の引き出物はなくてもよいですし、記念に用意してもよいです。兄弟姉妹の引き出物は、親から独立している場合は用意しましょう。

引き出物の品数は、地域によってさまざまな風習があるため一概にはいえませんが、引き出物・引き菓子合わせて3品程度が一般的です。昔は割り切れる数はよくないとのことで3品や5品が主流でしたが、2品でも特に問題はありません。

2品のパターンで多いのが、「カタログギフト+引菓子」の組み合わせです。カタログギフトの価格は3,000~7,000円、引菓子は1,500~3,000円程度が一般的です。

招待客によって中身を変えて贈ることができます。一家族に一つ贈りますが、上司や夫婦で参列する人はお祝い金を多くもらうので、引き出物の金額や品数を増やすことを考えるとよいでしょう。

手作り・持ち込みで節約する

結婚式に必要なアイテムはたくさんありますが、その中で、特に「持ち込みがしやすいもの」「自分たちで手作りしやすいもの」を紹介します。手作りはそれなりの労力が必要ですが、取り入れることで節約可能です。

・ペーパーアイテム

招待状や、席次表、メニュー表、席札、プロフィール紹介、メッセージカードなど、紙の印刷物は業者に依頼せず、手作りする人が多いアイテムです。また、デザインだけ自分たちで行い、印刷は格安の印刷業者を使う方法もあります。

ペーパーアイテムの中で必ず必要なものは「招待状」「席札」の二つです。ほかのペーパーアイテムは無くても問題はありませんが、メニュー表や席次表などは、あった方が招待客に喜ばれます。そのため、可能な範囲で取り入れてみることをおすすめします。

以下は、手作りのメニュー表です。「手書きのメニュー」と「パソコンで作ったメニュー」です。どちらも比較的簡単に作れます。

手作りする際には、「名前や肩書の間違い」「枚数の不足」に気をつけましょう。まれに「席札が1名分足りない」など、当日になって慌てる人がいますので、充分に注意してください。

また、デザインだけでなく、印刷も自分でする場合は「予備の紙」「インク代」「印刷の質が悪くならないか」など含めて考えましょう。失敗するとかえって費用がかかってしまうことがあります。

・リングピロー

二人の指輪を乗せるためのリングピローは、手作りアイテムの定番です。既製品でも手作り品でも、見た目にあまり違いがないため、誰でも作りやすいです。

リングピローの材料が全て入った、手作りキットがたくさん売られています。また、器用な人なら思い出の洋服や、着物の布でも作ることが可能です。

以下は、和風の手作りリングピローです。

真ん中がポケット状になっていて、指輪を入れられます。ときどき、リングピローから指輪が落ちてしまうハプニングがありますので、落ちにくいデザインにしてください。

また、リングピローは人から借りたり、母親や友人に作ってもらったりするのもよいでしょう。

・ビデオ撮影

結婚式当日の様子を記録するビデオ撮影は、あってもなくてもよいオプションです。その場合、業者に依頼すると費用が多くかかるため、友人に撮影してもらうと節約できます。

友人に頼む場合は、招待客として参加しながら撮影してもらうか、撮影だけに専念してもらうか考えましょう。撮影のためだけに来てもらう場合は、お礼のお金をある程度多めに用意しましょう。

また、結婚式は撮り直しができないため、万が一ちゃんと撮影できていなかった場合のリスクがあります。極力、撮影に慣れた友人に頼みましょう。確実に記録映像を残したい場合は、プロの撮影業者に依頼するほうが安心です。

結婚式の費用節約はタイミングが大切

結婚するときは、引越し、ハネムーン、指輪の購入など、結婚式以外の費用もたくさん必要です。そのため、費用を安く抑えるために、多くの人が取り組みやすいポイントを紹介しました。

結婚式の価格交渉、節約の方法はたくさんありますが、契約の前がもっとも重要です。交渉は初めが肝心で、タイミングを逃すと値引きは非常に難しいです。常に多めの費用を想定しながら、比較検討をして契約することが大切です。

特に予期しない費用が、万が一式場をキャンセルしたときに「返ってこない内金」です。返金されない内金はまるまる無駄な費用になります。決して急いで契約せず、慎重に検討してください。

ほかに、自分たちで取り組めるさまざまな節約方法をお伝えしました。すべての節約方法に着手することは難しいかもしれません。しかしできる範囲で取り組むと、結果的に無駄を減らし、最終の金額を極力下げることにつながります。

結婚式で思わぬ出費に悩まないために、式場見学の前から想定できるポイントを押さえて式場探しを進めてください。大切なお金を有効に使って、招待する人に感謝の気持ちを伝えましょう。