結婚の際、多くの人が指輪の購入を考えるのではないでしょうか。一生身に付ける指輪は慎重に選びたいものです。デザインだけでなく、付け心地や強度、耐久性についても吟味しましょう。何十年たっても愛着を感じられる最高の一品に出会うにはどうすればよいのでしょうか。
指輪は、非常に高価なイメージがあります。女性の中には「指輪はなしにして少しでも新生活にお金をまわすほうがよいのでは」と考える人もいます。しかし、そのような人でも男性から指輪を贈られると、女性はとても嬉しく感じます。
やはり女性にとって、愛する人から指輪を贈られプロポーズされるということは、人生で最高の喜びの瞬間であり、大きな憧れなのです。
古代から人びとは、指輪に思いを込めてきました。指輪は単なる「高価な装飾品」ではなく、気持ちを表すものとして存在してきました。
一生ものの指輪は決して安くないからこそ、相手の気持ちを感じられるお気に入りの一品として選ぶことが大切です。では、結婚の準備が忙しい中、いつまでにどのように指輪を探すとよいのでしょうか。
ここからは、指輪の基本知識と選び方についてみていきます。
もくじ
ブライダルリングについて
ブライダルリングというのは、結婚するときに用意をする指輪のことをいいます。つまり、婚約指輪(エンゲージリング)と結婚指輪(マリッジリング)の両方をさす言葉として使われています。
婚約の証として男性から女性に贈られるのが「婚約指輪」で、既婚者が日常左手の薬指にはめているのが「結婚指輪」です。二つの指輪にまつわる歴史や相場、購入方法を紹介していきます。
まず、「あなたと結婚します」という約束を形にして贈るのが婚約指輪です。結婚の約束だけではなく「これから一生愛し続けます」という誓いの指輪でもあるのです。
このような婚約指輪を贈る風習はいつごろから始まったのでしょうか。
婚約指輪の起源
婚約指輪の起源は古代ギリシャ・ローマにさかのぼります。当時のローマ教皇が約束のしるしとして鉄の指輪を使い始めたという説があります。それから、古代ギリシャの時代には結婚というのは売買婚で夫が妻をお金で買うという結婚習慣であったといわれています。
結婚とは愛ではなくお金ということで、夫から妻の父親に指輪を渡していました。当時の男性は、こうしてお金を積むことで子孫繁栄を図らなければならなかったのです。
「結婚=妻の売買の契約」というのは、現在の価値観から考えると生々しい感じがしますが、当時はこのような慣習があったのです。しかし、文明の発達にともない、このような売買婚はなくなっていきました。
主流はダイヤモンド
婚約指輪にダイヤモンドを選ぶ人は多いです。ダイヤモンドは天然の物質で最も硬いため、耐久性がありその輝きが長く続きます。結婚の決意の固さと永遠の愛を込めて贈られます。
定番の形は、一粒ダイヤの立て爪の指輪です。また、メインのダイヤの両横に小粒のダイヤをあしらったもの、アーム部分全体に小粒ダイヤが配されたものまでさまざまです。
また、婚約指輪は「給料の3か月分が相場」というのを聞いたことがあると思います。これはアメリカの宝石会社の広告により広まったものです。そのため、高価な指輪を必ずしも贈らなければならないということはありません。
ではここからは、ダイヤモンドの品質の基準について記載します。ダイヤモンドの価値を見分ける基準は4つあります。Cut(研磨)、Clarity(透明度)、Carat(重量)、Collar(色)の4つで英単語の頭文字をとって4Cと呼ばれています。
この4Cはそれぞれとても繊細に区分がされており、ダイヤモンドのグレードが決まります。一般人が見てもわからないほど精密な区分ですので、あまり気にせず、実際に自分の目で見て、自分に合うものを見つけましょう。
Cut(研磨)
「ダイヤモンドの輝きはカットで決まる」といわれるほど、品質に大きく影響します。代表的な形はラウンドブリリアントカットです。
ダイヤモンドの正確なプロポーションと、表面の仕上げ加工のていねいさが重要です。プロの鑑定士によって細かく評価されます。最上級のトリプルエクセレントから、エクセレント、ベリーグッド、グッド、フェアー、プアーまで6段階の評価です。
Clarity(透明度)
ダイヤモンドの透明度を評価します。ダイヤモンドは天然の鉱物ですので、内部に異物やひずみなどの特徴をもっています。肉眼ではわからないものですが、宝石としての価値は変わってきます。
鑑定士が10倍に拡大し、透明度を見極めます。内容物によって光の通過を邪魔するものがないかを確認し、11段階のグレードに分けられます。
Carat(重量)
カラットはダイヤモンドの重さの単位です。1カラットは0.2グラムです。カラット数が大きいほど、ダイヤモンドの大きさも大きくなります。大きさは存在感を左右します。一般的にカラット数が大きいほど価値があがります。
Collar(色)
天然のダイヤモンドは無色のものもあれば、黄色がかったものもあります。完全無色から薄い黄色まで、23段階の等級があります。無色透明であるほど希少性と価値があがります。
ダイヤモンド選びで迷ったときは
さまざまな色や形、グレードのダイヤモンドを比較して、迷うこともあると思います。そんなときは、見た目が素人にもわかりやすいダイヤモンドの「大きさ」で選ぶとよいでしょう。小粒のダイヤモンドは年齢を重ねるうちに物足りなさを感じてくるものだからです。
ダイヤモンドについて記述してきましたが、いちばん大切なことは「自分が納得できるもの」が最高の指輪だということです。ダイヤモンドに限らず、ぜひ素敵な指輪を見つけてください。
婚約指輪の相場と準備
婚約指輪の購入金額の相場は、「30~40万円未満」が28%で最も高く、次いで「20~30万円未満」が18%、「40 ~50万円未満」が14%。平均は39.4万円(ゼクシィ結婚トレンド調査 2016 首都圏)というデータがあります。
しかし、平均金額などはあまり気にする必要はありません。上記のデータは首都圏のものですし、指輪購入者すべてを対象としたアンケート調査ではないからです。自分の収入や貯蓄額をふまえて、購入することが大切です。
材質はダイヤモンドが圧倒的に人気で93%を占めており、アーム部の素材はプラチナが86%となっています。
実際の注文では「既製品を購入する」「セミオーダー、フルオーダーで注文する」などの方法があります。オーダーする場合は、納期が数か月かかる場合もありますので、いつまでに必要なのかを考えて、早めに準備しましょう。
婚約指輪は、夫から妻へ婚約の記念品として贈る人が多いですが、指輪選びの際は二人で一緒に選ぶというカップルが多いです。
有名ブランドの指輪
指輪は購入を決める若いときだけでなく、年齢を重ねてもいつまでも身に付けたいと思えるような指輪を選びたいものです。
そういう意味で、老舗の高級ブランドの指輪は価値があるといえます。古くから長い期間にわたって、多くの人を魅了し続けているという実績と信用がブランドの所以だからです。
例えば、フランスを代表する高級ジュエリーブランドの「カルティエ」があります。ハリウッド女優からモナコ王妃になったグレース・ケリーが、モナコ王子・レーニエ公から贈られた婚約指輪がカルティエのダイヤモンドリングでした。
他には、1837年創業の「ティファニー」は女性の憧れの世界の高級ブランドです。また、1932年、アメリカ・ニューヨーク5番街で創業した「ハリーウィンストン」は富裕層・有名人から高く支持される高級ブランドです。
日本のジュエリーブランド「4℃(ヨンドシー)」は、1972年原宿の路上で銀細工を販売していたのがはじまりの人気ブランドです。また、京都で誕生したジュエリーブランド「俄(にわか)」は日本の伝統美を表現したデザインが魅力です。
海外にも日本にもたくさんのブランドがあります。指輪は特別な記念品ですから、心から長く愛用していきたいと思える、憧れのブランドジュエリーを手に入れることも価値があることでしょう。身の丈にあった範囲内でお気に入りの指輪がみつかるか調べてみましょう。
海外の高級ブランドは、日本にも店舗が複数あるところもありますし、老舗であれば将来のメンテナンスも安心できます。
挙式でおこなうエンゲージリングカバーセレモニー
エンゲージリングカバーセレモニーとは、結婚式で夫から妻、妻から夫へ結婚指輪を交換した後におこなうセレモニーです。夫から妻へ改めて婚約指輪を贈り、重ね付けします。婚約指輪で二人の永遠の愛をより強く固める儀式です。
婚約指輪は宝石がついているものが多いため、日常でつける機会が少ないものです。そんな婚約指輪を思い出の挙式でも使ってみてはいかがでしょうか。
結婚指輪(マリッジリング)
結婚指輪は結婚の証として男女がつける指輪のことです。必ずしもつけなければならないものではありませんので、結婚指輪をしていない既婚者もいます。
先ほどみてきました婚約指輪と違い、日常的につけ続ける指輪ですので、結婚指輪では「丈夫さ」と「飽きのこないシンプルなデザイン」を求める人が多いです。
指輪の内側に結婚記念日やイニシャルなどの刻印をいれたものや、2つの材質を組み合わせたものなど、素材やデザインも豊富にあります。
なぜ結婚指輪を左手の薬指につけるのか
結婚指輪は左手の薬指につけることが一般的です。古代ギリシャでは心臓は人間の感情をつかさどる場所とされていました。そして、左手の薬指には心臓につながる血管があると信じられていたことから、左手薬指に結婚指輪がつけられるようになったといわれています。
ハートにつながる左手薬指は、生命に直結する神聖な指ということなのです。
結婚指輪の選び方
結婚指輪は「永遠の愛の象徴」であることからつなぎ目のないデザインがおすすめです。一生ものの指輪は二人で納得できるものを選びましょう。
既製品やオーダーメイドだけでなく、指輪工房で世界にひとつの手作りリングを作る人もいます。既製品にはない味わいや、二人の想いが込められた結婚指輪はより愛着を感じられることでしょう。
手作りを検討する際は、指輪工房に何回程度通う必要があるのか、製作時間はどのくらいかかるのかなど、事前に確認しておくことが大切です。大事な結婚式のセレモニーで指輪交換をされるなら、納期が間に合うように調整する必要があるからです。
手作りするということは、二人で一緒に指輪づくりに夢中になる時間も、特別な思い出になります。そして何よりパートナーが一生懸命作ってくれたのだという喜びと幸せをいつも感じていられることも手作りリングの魅力といえます。
既製品を購入する場合も、その後のアフターケアやサイズ直しなどの対応について確認しておきましょう。
挙式で指輪交換するときのポイント
結婚式の中でおこなう指輪交換のセレモニーは、夫婦の誓いを形にあらわす儀式です。途切れることのない円は永遠の愛をあらわし、お互いの存在をいつも感じられる大切な約束の品です。
指輪を相手の指にはめる際、模様が入っているデザインのものは、その指輪がいちばんきれいに見えるようにつけてあげてください。また、カメラマンが手のアップを撮影することがありますので、手のケガや小さい傷などに気をつけましょう。
男性であっても、挙式の数日前からハンドケアしておくと、きれいな手の指輪交換の写真が残せます。
指がむくみやすい人や、指輪のサイズがきつめの人は、指にハンドクリームを塗っておくと脱着しやすいです。セレモニーの本番で、相手の指に指輪が入りにくい場合は、第二関節のあたりまで入れて、そのままにします。指輪交換のあと、本人が目立たないように、自分の右手で押し込んで指輪を奥まではめ込むとよいです。
挙式はセレモニーですので、とにかくゆっくり丁寧に指輪を贈りあってください。