結婚式や新生活の準備中は幸福感に包まれる反面、パートナーとの間でお互いに不満が噴出することはありませんか。特に相手が準備にあまり協力的でなかったりすると、不安な気持ちが出てくるものです。
独身の間は少しの不満には目をつぶり、ごまかしてきたことでも現実に二人の未来が動き出すと、気になることが出てきます。
夫婦はそもそも異質な者同士が一緒に作っていく共同生活です。結婚しただけで自動的に幸福に向かう幸せの切符を手に入れたことにはなりません。
パートナーとの間で会話がかみ合わない、価値観の違いにどう折り合いをつけていけばよいか、分からなくなることがあると思います。
そんなときは一度、原点に立ち戻り心を冷静にしてみましょう。ここでは今一度パートナーと自分を見つめなおすための心の準備について触れていきます。
もくじ
結婚の目的とは
そもそも、あなたはどうして結婚しようと思ったのでしょうか。「好きな人とずっと一緒にいたいから」「周りがみんな結婚していくから」「安定が欲しいから」「独りは寂しいから」「親が安心するから」「幸せになりたいから」いろんな理由が浮かぶかもしれません。
しかし、人が結婚する目的は進化成長にほかなりません。自分とは価値観の違う相手との関係を通して困難を体験することは自分を大きく成長させてくれます。
そして、人としてお互いに高めあい、良好で安定した関係を構築することです。
結婚する目的や理由をはっきりさせることが大切なのは、夫婦関係が困難な状況になったときに諦めたり、投げ出してしまいやすくなるからです。
現代は早期離婚が増加傾向にあります。どの年代でも新婚の間に離婚する夫婦の割合が増えているというデータがあります。
私は婚礼司会者として、たくさんの新米夫婦と対面してきましたが、結婚のスタートにあたっては誰も自分たちだけは離婚は関係ないと信じています。
しかし、実際私が担当した夫婦でもっともスピード離婚した方は4か月でした。3~4年で離婚する人もいました。
結婚5年未満の早期離婚は離婚全体の30%ほどを占めるといわれています。
では、事前にどんな心構えがあれば早期離婚という残念な結果を回避して、良い関係を築き幸せな家庭を実現できるのでしょうか。
まずは結婚前のマリッジブルーに陥る原因を把握しましょう。そして男性と女性の違いについてみてきます。
マリッジブルーの症状
まずマリッジブルーとはどういう状態かというと、結婚を前にして感じる憂鬱な精神状態のことをいいます。実際に多くの人が多かれ少なかれ感じています。
新生活への不安
環境が大きく変化することからくる不安な気持ち、経済的な不安や、新しい人間関係に対する不安などです。
親離れすることの喪失感
慣れ親しんだ親との生活を離れることの寂しさは多くの人が感じるものです。また、女性の多くが入籍の際に相手の男性の姓を名乗ることを選択します。そのため、旧姓に自分のアイデンティティを結び付けている人は特に自分を失ってしまうような感覚に陥ります。
結婚相手に対する不安
マリッジブルーは女性に多いです。特にパートナーとなる相手への漠然とした不安が大きいようです。男性はどちらかというと現実的な問題に不安を抱く人が多いです。
以上のような漠然とした不安感が続くと不眠や、食欲不振、中には顔や体にひどい発疹が出る人がいます。
マリッジブルーになっても周囲の人に相談しない人が多いので、どうしても情緒不安定に陥ってしまいやすいです。最悪の場合、婚約破棄につながってしまうことがあります。
では、どのようにすれば不安定な気分をやわらげ、前向きに結婚準備を進めていけるのか。ここからは男女の違いについてみていきます。
男女の違いを知る
男性と女性は身体の性質や見た目に違いはあるものの、同じ人間だという思い込みがあるため、つい自分の目線や感覚を相手と共有できるかのように錯覚してしまいます。
男女の遺伝子とホルモンの働きの違い
人間の遺伝子は男女でもほぼ同じで男女差は1%の遺伝子の違いといわれています。女性はXX染色体、男性はXY染色体を受精の際にもちます。
男性は大量のテストステロンという男性ホルモンにより男性の機能を備えていきます。一方、女性は大量のエストロゲン分泌により女性特有の性質を持ち合わせます。
その結果、男性は「独立性」「闘争性」が際立ち、女性は「協調性」「感情表現」などが豊かで基本的におしゃべりになります。
このように真逆の感性をもっているからこそ男女は惹かれあい、結婚を決意するのです。
男女の脳の働きの違い
男性と女性は脳の違いも顕著です。そのため得意分野が異なります。そのひとつが「決断力」です。あまり迷わず直感で判断することが得意な男性は、一度決断した結婚に迷うことは少ないです。
一方女性は結論を出すことがあまり得意ではなく、結婚を決意した後も、相手に不安を感じることがあると悩みはじめ、マリッジブルーになりやすいのです。
脳はいつも自分の世界観でしか物事を解釈できないとしたら、あきらめるしかないのでしょうか。
相容れないからこそ補い合える
そもそも感性の違いすぎる相手と惹かれあうようになっているのだとすればどうすればいいのでしょう。あきらめることは一つの方法ですが、ほかに方法はないのか考えていきます。
女性の場合、どうしても話し合うことで乗り越えられると考えがちです。しかし、これまでみてきたように男女はそもそも感性が違うため、無理に分かり合おうとするとますます辛くなります。
ですから、ここで大きく発想を転換してみることをおすすめします。
関係を向上させるためにできること
世の中には相手との良好な関係作りのためのノウハウがたくさんあります。しかし関係を良好にすることを目指すとどうしても壁にぶつかります。
コントロールしたい気持ちに気づく
そのためにはどうすればよいのでしょうか。ひとつの方法として一旦、関係を良くする、分かり合うための努力を停止することです。相手にベクトルが向きすぎていると様々な感情に振りまわされてしまいます。
特に女性は不安定になりやすいので、相手に働きかけることをストップして自分でコントロール可能な部分だけにフォーカスしてみましょう。
相手を意のままにコントロールすることはできませんが、自分の言動を変えることはできます。結婚するのだから相手にはこうあってほしいというのは、そもそも自分の勝手な欲望に過ぎないのです。
ただ、自分のことを抑え込み我慢することはありません。例えば相手に手伝ってほしいことがあればストレートに伝えましょう。
中には時間がかかることもあるかもしれませんが、相手は一生を共にするパートナーです。ゆっくり焦らず二人で作り上げるという意識をもっていれば大丈夫です。
相手を理解するためには
自分とかけ離れた感性をも相手とどのように価値観の折り合いをつけ、お互いに理解を深められるでしょうか。
それには素直に心を開くことです。これは単純なことですが、なかなか難しいものです。
核家族という人数の少ない家庭で育つと人に対するストレスの耐性が弱くなりやすいです。そのため自分の感情に素直になれず、屈折した表現をしてしまい、相手に察してもらおうとしたりするとますます通じなくなります。
言葉を発する前に自分に正直になりましょう。自分の寂しさや満たされなさが背景にありませんか。そんなときは、ありのまま「寂しい」と伝えてみることもひとつかもしれません。
喧嘩になったときは
喧嘩するのは親密な証拠です。ですから、ぶつかり合いは悪いことではありません。好きなのに喧嘩してしまったと落ち込むのはかわいいものです。プライドが高すぎるとパートナーと喧嘩するなんてバカらしいと思う人がいますが、無理に我慢してるだけのことです。
お互いに上に立とう、自分の正しさを証明しようと一生懸命になるより思い切って心を開き、二人の関係性を優先してみましょう。
相手を変えようとする必要はありません。あなたがまず、できる範囲でやれることをやってみましょう。たった一人の伴侶として選んでくれた相手です。付き合い始めたころ相手が見せてくれた気づかいや優しさをたくさん思い出してみましょう。
喧嘩に白黒つけようとしすぎないようにしましょう。二人の関係を「正さ」に押し込める虚しさを心のどこかで感じているはずではないですか。
もしも相手が仲直りのために歩み寄ってきたら、素直に受け取るようにしましょう。かみ合わない関係は当然。その上に信頼関係をきずいていけばいいのです。
相手を責めることも、自分を責めることも必要ありません。自分を大切にするように相手を大切にしてください。未熟さもかみ合わなさも含めて相手を愛おしく思えるようになれれば、小さな幸せに気づくことができるようになります。