結婚式や披露宴にお招きする人すべてに「参加できて本当によかった」と思ってもらいたいという気持ちで準備をスタートします。

披露宴において、笑いや涙、感動を生み出すのは、そこに集う「人」です。演出や料理が大切なのもそこに人あってのことです。

そのためどのようなゲストを招待するかがとても重要です。特に披露宴では、どのような顔ぶれがどのような配置で着席しているかによって雰囲気が違ってきます。

あなたは今、どのような人の顔が浮かびましたか? 大の仲良しの友人でしょうか。それともいつも可愛がってくれたおじいちゃん、おばあちゃんでしょうか? 大切な人の笑顔がたくさん浮かんでくるかもしれません。

当たり前のことですが、招待状を発送してしまうと、こちらからは絶対に取り下げられません。また招待する人によって、よりふさわしい料理や演出も変わってきます。ですので、ゲスト選びは早いうちから考えはじめましょう。

ここからは、招待客の選び方や準備の進め方を間違うとどんな問題が起こりやすいかを紹介します。そのうえで、人数調整の大切なポイントをお伝えします。

招待人数の調整で気を付けること

披露宴の招待人数をアバウトに考えていると、後々どんな問題が起こりやすいかについて説明します。

人数が多くなりすぎた場合のデメリット

はじめに何となく想定していた人数が、大幅に多くなった場合のデメリットをみてみます。

・余興が制限される

会場の人が多すぎて狭くなると、お祝いの余興スペースが少なくなります。例えば、友人が大人数でダンスを披露したい場合など対応ができなくなります。

たくさんの友人が事前に集まって練習を重ねてくれたり、おそろいの衣装を用意したりと大変な準備をしてくれているかもしれません。

そこで当日スペースが狭すぎて思ったように踊れないとなると、せっかくの友人たちの気持ちをがっかりさせてしまいます。

お祝いしてくれる人たちの気持ちを尊重できないことがないようにしなければなりません。

・料理の提供が遅れる

また、たくさんのテーブルと椅子がつまっていると、サービススタッフの通り道が狭くなり配膳に時間がかかります。そのため、料理の提供がスムーズに進みません。

二人がこだわった美味しいはずの料理がベストタイミングで提供されなければ、満足感が下がってしまいます。特にアツアツが美味しい肉料理などは、最高のタイミングで食べてもらいたいものです。

・ゲスト同士の交流が進まない

あなたたち二人の披露宴に集まるゲストや親族が新郎側、新婦側を超えて仲良くなってもらえると嬉しいものです。しかし人数が多すぎると、自分の席から離れて別のテーブルに移動するのにストレスがかかります。

そのため、いろんな人と話がしたいと思う人でも、つい動くことをやめてしまいます。広く交流して楽しい時間を過ごしてもらいたいなら、スペースの余裕を考えておくべきです。

・予算オーバーになる

招待客の人数が増えると、披露宴の価格が確実にアップします。料理代と引き出物代が加算されるのです

例えば、一人当たりの料理が2万円、引き出物が1万円とします。そうすると一人増えるにつれて、3万円の予算増となります。10人増えると30万円という大幅な予算増になってしまいます。

制限なく予算を立てられる人は少ないですから、十分注意しましょう。

人数が少なくなってしまった場合のデメリット

では今度は逆に、当初の人数の想定より招待客が少なくなってしまった場合のデメリットをみてみます。

・ご祝儀が減る

ご祝儀は招待客が贈ってくれるお祝いのお金です。会費制のパーティでない限り、ご祝儀による収入がどのくらいになるのか計算することはできません。ですが、人数が減ってしまうと確実にご祝儀の額は減ります。

新郎新婦がご祝儀を収入として、あてにするものではありません。しかし、招待された人たちは、何かと物入りな新郎新婦のために「せめて自分の食べる料理代くらいは負担しなければ」と包んでくれるものです。

数百万円をかけて披露宴を行ったあと、そのうちの何割かでも、ご祝儀での収入があれば実際とても助かります。

・全体的に寂しい雰囲気になる

人数が少ないと、にぎやかさや華やかさがどうしても少なくなります。はじめから少人数でゆっくりと食事会をしたいと考える人はこれでよいです。しかし、招待したものの欠席者が想定より多かった場合は、とても残念な気持ちになります。

・追加で招待する人を探さなければならない

結婚披露宴でたくさんの友人や仲間に囲まれて、幸せなスタートを迎えたいと願う人は多いことでしょう。そして、そんな姿を周囲に見てもらいたいと思う人がいます。

信じられないかもしれませんが、披露宴に呼ぶ友人がいないことを気にする人に向けて「友人代行サービス」というものがあります。

業者に手配をすることで、当日「友人のふりをして披露宴に参列する人」が来てくれるというものです。このようなサービスが存在する背景には、人の「つい見栄を張ってしまう」という心理があります。

友人を呼べないことよりも、友人がいないと周囲に思われることが何よりも辛いわけです。

代行サービスなどは使わないとしても、友人の欠席が多かった場合、ほかの友人に声をかけて来てもらう人を探す場合があります。

しかし、披露宴1か月を切ってから招待の電話をするとどうなるでしょう。相手には「人数調整で後から招待された」ということが、おおよそ分かってしまいます。これは相手にとって大変失礼なことです。

このような場合は、ある程度正直に説明することをおすすめします。失礼を承知であることを十分伝えたうえで、お願いしてみましょう。誠意が伝われば、事情を理解したうえで気持ちよく出席してくれる人もいるでしょう。

 

招待客を絞り込む作業に入る

以上、人数のカウントをいいかげんに考えていることで起こりうる、デメリットをお伝えしました。

ここからは、具体的な人数調整のやり方と、失敗しないための工夫をご紹介します。

招待客数を検討する

まずは、招待客数を検討することからはじめます。招待客数を決めることで「披露宴会場の広さ」「大まかな予算」が見えてくるので、とても重要です。

実際、「結婚披露宴に何人招待したか」というデータからみると、最も多いのが50~90人くらいで、全体の6割近い新郎新婦がこのくらいの規模の披露宴を行っています。平均すると70人前後となります。

また、地方によっても傾向があり、北海道、東北、九州、沖縄などでは100人規模の披露宴が非常に多いです。逆に首都圏、東海、関西地方では平均60人前後というデータがあります。

しかし、招待人数はあなたがパートナーとなる相手と、両家の家族で考えて決めればよいものです。実際、招待客30人未満の少人数披露宴や150人を超える大規模な披露宴をおこなう人もいます。

まずは人数調整のための材料となる、リストアップからはじめましょう。

招待したい人をリストアップする

次に招待客として候補になる方を書き出していきます。大きく分けると親族、友人、職場関係の3つになります。初めは細かいことを気にせず、とりあえず多めに書きだしてみましょう。

リストの表には、関係、名前、住所、電話番号、出欠、引き出物、ご祝儀、備考欄などを入れてください。その際、以下のような表を作って親族、友人、職場関係と分けて管理すると便利です。

パソコンを使う人はエクセルなどの表計算ソフトを使うと簡単に管理できます。

・親族

親族関係のリストアップは基本的に親に相談をしましょう。あなたがあまり知らない親族であっても、親がその親族の結婚式に招かれている場合は、招待する可能性が高いです。

親族については親がこれまでどのような関係を築いてきたかによって決まってきますので、先に相談したりチェックしたりしてもらいましょう。漏れがあると後々、問題になる場合もありますので注意しましょう。

人数が多くなりすぎる場合、その一家の代表として例えば、叔父叔母夫婦を招待します。そして夫婦の子にあたる「いとこは呼ばない」など基準をつくって考えましょう。

・友人

友人については、あなたが絶対来てほしい人、できれば来てほしい人に分けて調整をしましょう。異性の友人を招いてもかまいません。しかし、あまりにも異性の友人ばかりの場合は、パートナーやパートナーの親族から見た場合どう見られるかなど聞いてからにしましょう。

・職場関係

まず、主賓として招くべき人、絶対外せない上司、同僚、後輩などをピックアップしましょう。そのあと、余裕があれば招きたい人を書き出しましょう。人数が多くなりすぎる場合、例えば「同僚は同期のみ呼ぶ」などの基準をつくると考えやすくなります。

・その他

その他としては、親の友人、知人などを招待することがよく見られます。結婚披露宴は新郎新婦に次いで、両親が準主役のような存在となります。

ここまで子供の成長を見守ってきた両親をお祝いする場でもあります。ですから両親がぜひお祝いに来てほしいと思う人に囲まれて祝ってもらえる披露宴はよりいっそう感動が広がります。

招待客を選ぶにあたって考慮すべきこと

・両家のバランス

新郎側、新婦側の招待客数は同じくらいの人数がベストです。しかしどうしても、片側の招待客が多くなる場合というのは実際よくあることです。人数のかたよりは絶対によくないということではありません。ですが、例えば9対1のような、極端すぎる比率のかたよりは避けましょう。

・相手の状況

招待したい人が、遠方の場合や、妊婦の人、乳幼児がいる人など、体調やさまざまな事情を察しましょう。そのうえで、電話などでお伺いを立ててから正式に招待状を送付しましょう。

精一杯の配慮をしたら、出席か欠席の判断をするのは相手にまかせましょう。どんな事情を抱えていても本人が何としても行きたいと思っていれば、相手も調整してくれます。

また、すぐに返事ができないといわれた場合、いつまでなら待てるかやんわりと伝えておきましょう。披露宴当日が近づくにつれて、いろんな手配物のキャンセルができなくなってしまいます。それに、ほかの誰かを招待することもできなくなります。

・一人ぼっちの出席となる人

招待する人が当日、一人参加で同じテーブルの人を誰一人知らないというケースが時々みられます。本人にそのことをはっきりと説明しておきましょう。そして、隣の席に座る予定の人がどんな人なのかを双方に伝えておきます。そのような配慮をすると、一人参列の不安を減らすことができます。

招待客を絞り込めずに迷ったら

・二部制を検討する

どうしても人数が多くなってしまった場合、披露宴を二部制にするという方法があります。例えば、午前中の第一部は親族中心の披露宴、午後からは友人を中心としたパーティにすると、多くの方を招待することが可能になります。

衣装はまったく同じもので大丈夫です。レンタルの場合はたとえ追加費用が掛かったとしても、多少の延長料金の追加で済みます。

料理や演出はそれぞれの招待客の雰囲気に合わせたおもてなしができます。

・どうしても迷ったら過去に重きをおく

あなたが招待をしたいと考える人たちは、だいたい二種類に分類することができます。それは「これまでお世話になった人」と「これからお世話になる人」です。どちらも、あなたにとって大変重要なはずです。

それでは人数の調整にあたり、どちらを優先すべきか考えてみましょう。答えはあなたの中にしかありません。一般的な答え方ができないものです。

しかし、当日の披露宴の盛り上がりというものを考えるなら、過去のつながりを重視されることをおすすめします。あなたとの素敵な思い出をたくさんもつ人が多く招かれている披露宴ほど、感動的になりやすいです。

思い入れが強い人ほど、お祝いしたくなるのは人情です。ふたりの現実としては、これからの未来が大事ですが、未来はこれからの努力でいかようにも関係を育てていくことができます。

当日をイメージして、自分の心に素直に聞いてみてください。きっと答えはおのずと見えてきます。

直前の欠席を減らすためにできること

自分の結婚で舞い上がっていて、相手への配慮が欠けていると思われてしまうと、後々「やっぱり行きたくない」「欠席しようかな」など、直前になって欠席者が出るという事態になることがあります。現実にこのような欠席はよく見られます。

このようなことがあると、その後の人間関係に傷がつきます。実際に結婚式の招待に関するトラブルで友人関係が途絶える事態があります。

招待だけでなく、スピーチや余興、受付などの依頼の仕方によるトラブルでも欠席につながるケースがあります。当日おしゃれをしてご祝儀を渡してまで、もやもやした気持ちで参加したくないと思わせないために気を付けましょう。

そんな最初のアプローチとなる招待については特に注意が必要です。くれぐれもいきなり招待状を送って相手を困惑させるようなことはしないでください。

ていねいな招待の仕方には、ていねいな返信が返ってきます。招待の仕方がぶしつけだったり、カジュアルすぎると、相手の返信もいいかげんになりやすいのは当然です。

直接会って話すか、電話をかけて招待したい気持ちを伝えて、相手の反応をうかがいましょう。この作業をきちんと行うことで、直前の欠席を極力ふせげます。なおかつ、招待状の返信を待たずにおおよその出席人数が把握できるという大きなメリットがあります。

良くも悪くも、日頃の自分が相手にとってどんな存在であるかが見えてしまうのが婚礼です。

招待客のリストアップを楽しく進めましょう

ここまで結婚披露宴の招待客を選ぶ際の注意点をみてきました。こんなに細かいことまでいちいち考えなければならないのかと、憂鬱になるかもしれません。

しかし、冒頭に説明したように披露宴をつくるのは新郎新婦と招待客です。招待については、重きをおいて準備を進めてください。

結婚式の準備全般にいえることですが、頭を悩ませる問題がいくつか必ず出てくるものです。そんなときは、できることを考えましょう。できないことは誰かにお願いする、または解決策を教えてもらうなど、対応を考えることはできるかもしれません。

あなたの大切な人たちの笑顔を思い浮かべながら楽しくリストアップすることから始めましょう。

出席の返事が次々と届くのは嬉しいものです。その嬉しさで今後のたくさんの準備を楽しく進めてください。