結婚式・結婚披露宴の準備で、花嫁がもっとも楽しみなことのひとつが衣装選びではないでしょうか。一生一度の晴れの舞台で着用する花嫁衣装は後悔しないように選びたいものです。花嫁衣装は新婦本人だけではなく、ゲストや親族の女性にとっても関心の高いものです。

衣装選びで重要なのは、自分の好みも大切にしながら、「予算」「自分の体形」「会場の雰囲気とのマッチング」など、複数の条件をバランスよく満たすことです。納得できる衣装に出会うためには、それなりの時間が必要です。早いうちから情報収集を始め、計画的に準備を進めていきましょう。

衣装を見に行く前にしておくべき準備

まず、婚礼衣装をやみくもに見に行くのはやめましょう。確かに衣装店には専門のスタッフがいて相談にのってくれますが、自分がどんな衣装を希望するのか事前に情報集めをしておかないと、スタッフにいわれるままにフィーリングで決めてしまうことになります。

挙式スタイルや披露宴会場の雰囲気など、トータルで考えておくことが大切です。事前にイメージをある程度固めておくことができているかどうかが、納得の一着に出会える近道です。

また、衣装の見た目だけではなく、動きやすさなども大切です。それから婚礼衣装はマナーやしきたりなども考慮して選ばなければなりません。

大きく分けると、和装と洋装ですが、それぞれにさまざまなタイプの衣装があります。そして衣装にあった小物や下着も考えなければなりません。

では、どうすれば納得の衣装に出会えるのでしょうか。ここからは、衣装選びや衣装の調達方法についてのポイントを順番にみていきます。

最高の気分で当日を迎えるためにも念入りにチェックしましょう。

どんな衣装を何着着るか考える

・挙式の衣装を考える

まず、挙式スタイルから衣装を考えます。挙式がキリスト式なら白いウェディングドレスです。また、神前結婚式や仏前結婚式なら和装が基本です。人前結婚式は和装、洋装どちらでも問題ありません。

・お色直しの回数を考える

お色直しとは衣装チェンジのことをいいます。何着衣装を着るかということを考えましょう。

お色直しの主流は1回(2着の衣装を着用)です。衣装チェンジには20分~30分ほどかかりますので、最大でもお色直しは3回(4着の衣装を着用)です。実際、3回も着替えに出ていると列席者と一緒に過ごせる時間はかなり少なくなってしまいます。

和装から洋装への衣装チェンジよりも、洋装から和装への衣装チェンジの方が時間がかかります。着物の着付けにはどうしても手間がかかります。しかし、和装から和装への衣装チェンジは下着などの内側はそのままで、いちばん外側の着物をかけ替えるだけで済みます。そのため着替えの時間をかなり短くできます。

新郎新婦は主役であり主催者です。新郎新婦の不在時間が長くなるのは、お祝いに来てくれる人たちに対して失礼ではないかどうか、しっかりと考えて決めましょう。

友人の結婚式に招かれた経験のある人は列席者の気持ちを思い出してみましょう。招かれたことがまだない人は想像してみましょう。あなたが本当に見たいのは友人のファッションショーでしょうか。そうではなく、喜びいっぱいの新郎新婦の姿を見ることのはずです。

新郎新婦の中には、「招待客をおもてなしすることに徹したい」「みんなと過ごす時間をできるだけ長く取りたい」という気持ちから、お色直しをせず挙式・披露宴の間、1着の衣装で通す人もいます。

お色直しの回数に正解はありません。列席者へのおもてなしの気持ちと、衣装チェンジで喜びの気持ちを表現したいという気持ちはどちらも大切です。

その両方を考慮して現在、お色直し1回が主流になっているのではないかと考えられます。

・親の希望を聞く

自分たちは一着の衣装で満足と思っていても、親の気持ちとしては「もう一着、お金を出してでも着せてあげたい」という思いをもつ親もいます。そのようなときは、思いきってもう一着、お色直しをさせてもらいましょう。親元から独立する最後ですから、このように甘えてみるのも親孝行になります。

衣装選びは最終的に自分たちで決めるとしても、親に一応相談しておくことをおすすめします。なぜなら新郎新婦同様、親も主催者の一人だからです。親がかなり高齢の場合などは、新郎新婦が主体となってすべて準備を進める人も多いです。

しかし、そうでない場合は衣装に関わらず、積極的に親に相談をしながら決めましょう。

それにより意見が合わず、面倒くさい部分も出てくるかもしれませんが、両家の考え方を理解できます。また、親の人生経験によるストレートなアドバイスは貴重です。

親に感謝を伝え、親の元から巣立つ儀式が婚礼です。親は子から頼られ、相談されることも喜びのひとつであるということを知っておきましょう。

・どうしても他に衣装が着たい場合

もし、他にも衣装が着たい場合は、事前に写真撮影のみ行うという方法もあります。事前に撮影日を設ける前撮りはゆっくりと撮影できます。

ロケーションフォトといって、どこかきれいな風景の場所で撮影したり、趣のある建物で撮影したりすることができます。さまざまな写真を撮ってくれる写真業者が多数あります。

このような写真撮影をしておくことで、本番の挙式・披露宴とは別に記念写真を残すことができます。前撮りした写真は披露宴の受付に飾るなど、当日も活用できます。

・ドレスや着物以外の衣装

レストランウェディングなどの比較的カジュアルなパーティの場合、お色直しで仮装のような衣装を着る新郎新婦がいます。

例えばサッカーのユニフォームや、どこかの国の民族衣装や、会社の作業着などです。二人の趣味や人柄が表れてインパクトがあります。

この場合の注意点としては、もしお色直しがこの一回だけのときはパーティのラストでゲストへ挨拶を述べる際に大変カジュアルな服装になってしまうという点です。大丈夫かどうかウェディングプランナーさんとよく相談して決めましょう。

また、消防士や警察官などの公務員の人はよく制服(官服)を着用します。公務員の正装の制服姿というのは一般の人はあまり見る機会がありませんので、公務員の方はぜひ着てみてはいかがでしょうか。婚礼の日のためだけに勤務先で借りてくる人も多いです。入場する際、通常は一礼で挨拶するところ、ここで敬礼をしてもかっこいいです。

衣装をレンタルするか、購入するか決める

衣装の調達方法はふたつあります。「レンタルする」もしくは「購入する」かのどちらかです。

まず、レンタルする場合、既成の衣装の中から選んでレンタルするという方法があります。小物などが料金に含まれていることが多いため、比較的リーズナブルです。

また、自分の体形やサイズに合わせてオーダーしたものをレンタルして、使用後は返却するオーダーレンタルがあります。自分のジャストサイズのものを着ることができる点がメリットです。イレギュラーなサイズで多くの衣装の中から選ぶことができない方などにおすすめです。

購入する場合は、既製品を購入するか、オーダーメイドで発注する方法があります。

オーダーメイドには一からデザイナーと打ち合わせをして、自分だけの一着を作るフルオーダーと、基本のパターンからデザインや素材を選び作り上げるセミオーダーがあります。フルオーダーは高額ですが、細かい理想を叶えられるため最高の一着が手に入ります。

オーダーする場合は、それなりの制作期間が必要になりますので、結婚式の半年前くらいにはイメージを固めておく方が安心です。

それ以外の調達方法として、展示会などで使用済みの中古の衣装を購入するという方法があります。非常に格安で手に入りやすいため、気に入ったものが見つけられれば大変お得です。しかし、中古品の中からよい衣装にめぐり合うためには情報収集をし、自分の足で探すという手間がかかります。

また中には、友人や知人から衣装を借りるという人がいます。幸せな結婚をした先輩花嫁にあやかるというのは、大変縁起のよいことです。サイズの問題がクリアできるのであれば、貸す側、借りる側双方にとって素敵な思い出になることでしょう。

以上のように、衣装の調達にはさまざまな方法がありますが、自分の予算や衣装に対するこだわりなどを考慮してベストな調達方法を考えましょう。

また、挙式・披露宴を行う会場によっては、衣装を自分で調達してきて持ちこむことを禁止している会場があります。会場にはそれぞれ提携する衣装店があり、さまざまな事情や取引条件を交わしています。新郎新婦にとっては「関係ない」といいたくなる話ですが、現実的に衣装の持ち込みが厳しい会場は多くあります。

そのため、自分の好きな店で調達したい場合や、知人に手作りしてもらう衣装を着用したい場合などは、会場と契約する前に確認をしておきましょう。契約の際に交渉することで特別に認めてもらえる可能性もあります。

契約後にもめ事が発生すると、何かとエネルギーを使います。より多くのエネルギーを自分たちの婚礼準備に使えるようにしっかり考えておきましょう。

ドレスの選び方と試着の注意点

ではここからは、より具体的な選び方についてみていきます。

教会でキリスト式を挙げる場合

教会では、神様の前で肌の露出の多いものを着るのはNGです。これは花嫁も列席者も同様です。そのため、ウェディングドレスで腕が出るデザインのときは長手袋をします。

ただ、日本では宗教色が薄いためあまり細かいことをいわない婚礼会場もあります。それでも最低限のマナーは会場や衣装店の人に確認をしておきましょう。

ウェディングドレスといっても、非常にたくさんの種類があります。雑誌などを見ると自分の好みやイメージがわいてくると思いますので、試着に行く前に情報収集を始めましょう。

試着の際のポイント

デザインを見ただけのときと、実際に着用したときの見え方はちがいます。試着をしたら雰囲気が気に入るかどうかだけでなく、細かくサイズ感をチェックしましょう。どんなにデザインが素敵でもジャストサイズでなければ美しく見えません。

・試着の際にあるとよいもの

カメラを持参して、ぜひいろんな角度から写真を撮ってもらいましょう。また、挙式・披露宴会場の写真を持っていきましょう。会場の床・じゅうたんの色、壁の色、雰囲気などとマッチする衣装を探しやすくなります。

また、気に入った衣装の切り抜きなど、イメージしているものを持っていきましょう。あと、当日はストッキングをはくので、ストッキングをはいていきましょう。髪の毛が長い人は、髪留めなどを持っていくとアップスタイルのイメージがしやすくなります。

・バスト

胸元が浮いていないか、きつすぎないか確認しましょう。お辞儀をしたり、少し動いてみて、中に着ているインナーが見えたりしないかチェックします。

肩が全部出ているビスチェタイプのものは、着ている最中にずり落ちてくることがあります。よく披露宴中に介添えさんや衣装さんがずり落ちそうなドレスを引き上げていることがあります。ただ、何度もずり落ちてくると集中して楽しめなくなりますのでよく確認しましょう。どうしても気になるようなら、肩ひものついたデザインの方が安心です。

・ウエスト

ウエストのサイズはヒモやホックで調節可能になっているタイプのものが多くあります。ウエストの高さが合っているかどうかも確認しましょう。挙式・披露宴では後姿を見られるシーンも多いですので、バックスタイルが重要です。自分では確認しづらいので一緒に試着に同行してもらう人に見てもらいましょう。

衣装のことについて的確なアドバイスを求めるなら、新郎よりも女性の友人や姉妹の方がよいでしょう。男性はアパレル関係者でもない限り、女性の衣装のことはよくわからないので意見がしづらいです。

・裾の長さ

挙式・披露宴では立っているだけでなく、歩く場面があります。実際に歩いてみて、歩きやすさを確認しましょう。披露宴会場がフローリングの場合は摩擦が少なく歩きやすいです。

じゅうたんの場合は多少引っかかりやすいです。しかし、膝から先を伸ばして軽く蹴り上げるような歩き方をするとうまく歩けます。当日もアドバイスしてもらえますので、あまり気にしすぎなくても大丈夫ですが、裾は短めの方がより歩きやすくなります。

・デコルテ

首元の見え具合でずいぶん印象が変わります。顔のラインがより美しく、上半身がすっきり見えるものを選びましょう。

・ブライダルインナー

ブライダルインナーとは、衣装の下に着る体形を補正する下着のことです。衣装はレンタルでも、自分の肌に直接触れる下着類は基本的に自分で用意します。自分の気になる部分を補正することで、ドレスを着たときのシルエットを美しく見せることができます。ストッキングは肌色か白色のものを用意しましょう。

迷ったときには優先すべきことを考えよう

自分の「着たい衣装」=「似合う衣装」であればいちばんよいのですが、なかなかそうはならないことが多いようです。どちらに比重を置くかは、もちろんその人次第です。

ただ、自分の見せ方を知っている女性というのは、周りから見てとても素敵な人に映ります。花嫁の衣装選びは、大げさにいうとその人の生きざまが現れます。

もし「似合う衣装」に重きをおくなら、客観的な意見をしてくれる人に写真を見せて相談してみましょう。また、衣装店のスタッフとたくさんコミュニケーションをとって、アドバイスをもらうのもおすすめです。衣装選びにたずさわるプロに、あなたの好みや性格を知ってもらうと、よい提案をたくさんしてもらえます。

一方で「着たい衣装」を選びたいという気持ちが大きければ、その直感と思いを大切にしてください。悩ましい問題ですが、どちらを優先すると、より自分の満足につながるかを考えて決めましょう。