親御さんへの挨拶をすませ、いよいよ結婚式場を探そうという段階のあなたは、希望でいっぱいのことでしょう。ただ、いつから、どのように式場を探しはじめるのがベストなのか悩む人がほとんどです。
「どのくらい前から探し始めると、安心して準備が進められるのか」「半年前では遅いのか、一年前では早すぎるのか」など、気になることがあると思います。
そこで、式場探しのタイミングと予約の流れについて紹介します。さらには、最短期間で良い会場を探すときの考え方についてもお伝えします。
たった一度の結婚式の会場選びは後悔しないように選びたいものです。ぜひベストなタイミングで納得のいく会場を選んでください。
もくじ
結婚式の式場探しや予約はどれくらい前からが理想か
ここからは式場探しの具体的な期間や、多くの人がどのような手順で探しているかについて説明します。さらに、式場探しがなかなか決まらない人の理由や、式場探しにおいて大切なポイントを紹介します。
まず、多くの人が式場探しを何ヶ月前からはじめているか見てみましょう。このとき、以下のようになります。
- 半数のカップルが6ヶ月前から
- 四分の一くらいのカップルが1年前から
少数派ですが、中には1年半前から探しはじめる人もいますし、4か月くらい前という人もいます。準備期間が短いと焦ることも出てくるかもしれませんし、長すぎても中だるみしそうです。
あなたがもし妊娠中などではなく、特別に急いでいない場合は6~9ヶ月前くらいから、会場探しをすすめていくと良いでしょう。
もし、結婚式の日は「土曜日の大安」「新婦の誕生日が希望」「両親の結婚記念日に合わせたい」など細かい日程にこだわりがある場合は、1年以上前から探しはじめるといいです。
式場探しに時間をかければ良いわけではない
式場探しに時間がかかる人とは、よい式場を選ぼうと一生懸命たくさんの式場を見学する人です。多いといっても10件くらいが限界だと思います。
このような一生懸命な人は雑誌やインターネットの情報をもとに、式場に見学予約を入れて見学に行くことを繰り返します。以下のように、雑誌には優れた結婚式場がたくさん掲載されています。
しかし一日に何件も回ることはできませんし、自分とパートナー二人の休日が重ならないと動けないので時間がかかってしまいます。
しかも残念ながら、「たくさん見学する=よい式場が見つかる」というわけではありません。素人目線で見れる情報は限られているからです。
成約後に気づく意外な不満
吟味して結婚式の式場を選んだつもりでも、実際に成約し準備が始まっていくと、不満が出てくることがあります。
ほんの一例ですが、以下のようなことがあります。
- 披露宴会場が広くゆったりして気に入ったものの、チャペルの席数が非常に少なく立ち見がたくさん出てしまう
- 控室が遠い、狭いなど見学時には見落としていた部分が気になってくる
結婚式場は都心部になるほど、式場同士の競争が非常に激しいです。どの式場も見学にきた新郎新婦を契約に結び付けようと、さまざまなサービスと特典を提示してきます。
あなたが思い描くスタイルが何でも叶えられるかのように、メリットに結び付けて営業をかけてくると思っていてください。
私も多くの新郎新婦の結婚式に携わりましたが、残念なことに式場に対する不満を抱えている人を複数見てきました。
例えばあるとき、式場側の担当者が花嫁の衣装の小物の「レンタル代金約1万円をサービスする」という話をしたのはよいのですが、実際は別に「写真撮影の代金を1万円上乗せ」していたことがありました。
この花嫁は自分で値引き交渉したわけでも、結婚資金が不足していたわけでもありません。それなのに何かの拍子に見積もりの不正が発覚して、多大な不信感を抱いていました。しかも式場は写真の業者に対して、実際より1万円多い金額で見積書を偽装するように指示をしていたのです。
発覚したのが結婚式の本番1ヶ月を切っていたため、新郎新婦は嫌な思いを抱えたまま式場にお世話になるほかありません。結婚披露宴の終了後、謝罪にきた責任者に花嫁は目を合わせることはなく、黙って横を向いていました。
この事例は悪質なものですが、実際に見積もりに関するミスが重なるトラブルは多いです。ウェディングプランナーは人気職でありながら、条件面が過酷なため離職率が非常に高いです。そのため、すべての式場ではありませんが、若く未熟な人が多いのが実状です。
他にも、不満の内容はスタッフの対応、手配物、式場の設備に対するものなど多岐にわたっています。
結婚式の式場探しを効率よくする方法
式場探しを自分たちだけでして、よい式場を探し出すことは非常に困難です。また、何百万円もお金がかかる結婚式の式場選びをフィーリングまかせにすることは危険です。
では、やみくもに探し回らずに、短期間で効率よく式場を探すにはどうしたらよいのでしょうか。
これから効率よく式場探しをして、予約するための方法を3つ紹介します。
結婚式場紹介カウンターを利用する
あなたも見たことがあると思いますが、都心の地下街や、百貨店の中などに店舗を構えているのが式場を紹介してくれる紹介カウンターです。
大手が経営していることが多いです。紹介カウンターを訪問すると、あなたの希望する式場の条件を聞いてきます。人数やエリア、挙式スタイルなど大まかな希望を聞いて、条件に合致しそうな式場をいくつか紹介してくれるシステムです。
そしてあなたは紹介カウンターが発行してくれる「紹介状」をもって直接、式場へ見学に行くことになります。そこで紹介された式場の中の一つを選んで成約するという流れです。
紹介カウンターを利用することで得られるメリットとしては、紹介カウンターが独自の特典を用意していることです。直接式場に訪問した場合とは別の特典がある場合があります。
例えば「〇万円キャッシュバック」「ギフト券〇万円分」「ブライダルエステの割引券」などです。このような特典は紹介カウンターが主催する大規模なブライダルフェアでもよく見かけます。
以下は実際の店舗です。
ただ、一見お得に感じますが、紹介カウンターを通さずに直接式場を訪問し成約する場合でも、さまざまな特典は提示されます。実際、直接訪問して成約しても、紹介所経由で成約しても、トータルの金銭的メリットが大きく変わるわけではなく「どちらが得とは一概にいえない」ようです。
また紹介カウンターは、成約したお客さんが式場に支払う料理代金の10%ほどを手数料として式場からバックされています。
例えば一人2万円の料理を80名のゲストに出すと160万円です。160万円の10%の16万円が紹介カウンターの手数料になります。大まかには、このようなシステムになっています。
つまり、式場側にしてみれば「紹介カウンターからの紹介状をもってやってくるお客さんは、あらかじめ料理代の利益が少なくなる人」になります。
紹介カウンターが登場しはじめたころは、結婚式場は紹介カウンターを通さず、直接来てくれたお客さんの方を大事にしたといいます。しかし紹介というシステムに式場側も依存している現在では、基本的にどちらでも同じ扱いだと思ってよいでしょう。
ただ、紹介カウンターにそこまでのメリットはないです。紹介される式場は「提携先の結婚式場中から紹介されるだけ」だからです。決して、中立な立場での紹介ではありません。
あなたの希望といっても、人数やエリアなどをヒアリングした程度です。細かい結婚式へのこだわりや、キャラクターなどを含めて考えて紹介するわけではありません。
あくまでも紹介カウンターの紹介は、簡易なマッチングだと考えてください。そして一旦、式場見学に足を運ぶと「強い営業で成約をせまられる可能性が高い」ことを知っておきましょう。
ブライダルフェアに行く
ブライダルフェアというのは結婚式場が多数集まり、ブースを出しているイベントのことです。式場をひとつずつ回るよりは、効率よくたくさんの式場が比較検討できるのが魅力です。
他にも、ドレスのファッションショーを見たり、試着したりできる場合があります。また「引き出物」「招待状」「写真」などのアイテムをたくさん見ることができます。それだけでなく、エステや指輪、ハネムーンなど多岐にわたるブースが集まっています。
例えば以下は、新郎新婦と両親の衣装です。新郎新婦は洋装、和装ともに多彩な衣装があります。一方、両親の衣装は父親がモーニング、母親は黒留袖がもっとも一般的です。
続いては、花嫁モデル朝倉ケイトさんの写真です。大規模なブライダルフェアでは多数のモデルが見られることがあります。ゲストの目線でどのようなドレスが映えるのか、また自分がどのようなドレスが好みなのかよくチェックするとよいでしょう。
実際に衣装をコーディネートしている業者の人がいますので、流行や体形の悩みなどについて気軽に質問すると、後々役に立つ情報が得られます。
これから花嫁、花婿になるあなたにとっては、楽しい時間かもしれません。ただ、式場を選ぶという点では物足りないといえます。
その理由は、ブライダルフェアは広いイベント会場内に、式場の担当者がいて話を聞くので、式場を生で見ることができません。映像や写真などの資料で見ることしかできないのです。
以下のように、披露宴会場内の雰囲気は何となく感じていただけると思います。天井の高さが違う3枚を掲載しています。天井の高い順に並べていますが、違いがわかるでしょうか?
言われてみれば違いが何となくわかる程度ではないでしょうか。もし、このような写真を違うブースで一枚ずつ見た場合は当然、非常に比較しにくくなります。
しかし、天井の高さというのは披露宴全体の雰囲気に大きく関わります。天井が高いほど解放感や豪華さがあり、低いほどアットホーム感が出ます。
気になる式場があれば後日訪問して、より詳しい話を聞いて判断するという流れになります。
なお、ブライダルフェアはデートのついでに楽しむ程度ならよいと思います。しかし結局は、決め手になるほどの情報が得られるかどうかは不明です。
フリーのウェディングプランナーに相談する
最後にフリーのウェディングプランナーという存在をご存知でしょうか。結婚式場に勤務するウェディングプランナーとは違い、独立して婚礼をプロデュースしている人のことです。
フリーのウェディングプランナーは、特定の結婚式場をもっていません。お客さんの希望に合う式場をその都度見つけ出し、借りて結婚式を行います。
このようなフリーのウェディングプランナーに相談をするメリットは、いくつかあります。式場探しについていえば、あなたの結婚式に対する希望や性格、嗜好など細かく知ったうえで、式場を一から考えてくれることです。
いつもフリーのウェディングプランナーが間に入ってくれるので、式場に直接見学に行くときのように、すぐに決断を迫られることがありません。
そして彼らは、たくさんの式場を「裏側から知っている」というのが最大のメリットです。あなたが見学に行って見える部分は施設の雰囲気や説明された内容だけで、その奥にある式場独自の強み、弱みまで把握することはできません。
式場の営業担当者は自分の式場のウィークポイントを自ら明かすことは、ありません。例えば「スタッフの人材不足」や「教育が間に合っていない」などです。また、見えない設備が老朽化しているのを放置していたり、何かしら問題を抱えていたりすることがあります。
私自身、さまざまな式場に出入りしていると、ちょっとしたことが目につきます。例えば、以下のようなことがあります。
- スタッフの質が低い
- 建物の外側の植え込みが手入れされていない
- マイクがしょっちゅう故障している
- 当日、他の花嫁と鉢合わせしてしまう
- 同じ部屋で一日3組の披露宴を回していて、余興のリハーサルを別室ですることになる
- 提携のカメラマンのレベルが低そう
マイクの故障は、司会者が話しているときはまだしも、余興や上司の挨拶の際に、音が突然出なくなった場合はせっかくの感動の場面を台無しにしてしまいます。それは取り返しのきかないものです。
このような、細かい点で気になる式場はやはり、お客さんからのクレームが多いと感じてきました。そのため、結婚式場というものは見てわかる「施設の豪華さ」や「その日限りの特典」に目を奪われるだけでは危険だといえます。
そこで結婚式場によく精通している、フリーのウェディングプランナーに相談してみる価値があります。あなたを把握したうえで式場を提案してもらい、一緒に見学に行って決めるのがいいです。
あなたの側に立って、物事を有利に交渉してもらえるというのは最大のメリットです。これならたとえ4ヶ月前、5ヶ月前など、ちょっと期間が短いかなと思われる状況でも、安心して準備が進められます。
最短での結婚式は何ヶ月前からが適切か
ここまでは国内での一般的な結婚式の式場探しについてみてきました。しかし、中には「最短ではどのくらい前が適切なのか」を考える人がいます。
以下のように事情があり、充分な準備期間の取れない人はめずらしくありません。
- 突然の妊娠によりお腹が大きくなる前に結婚式を挙げたい人
- 親が病気のため一刻も早く、花嫁姿を見せたい人
- 海外赴任が決まっている人
圧倒的に多いのが妊娠中の人です。中には妊娠した事実を伏せたまま結婚式を挙げる人もいます。
一刻も早い結婚式・結婚披露宴を望む場合は、2ヶ月前が最短です。2ヶ月を切っていて申し込みに行くと、断られることが多いです。
通常の場合、招待する人に招待状を発送するのが約2ヶ月前です。また、結婚式には衣装や牧師さんの手配、披露宴には料理など、さまざまな手配物が必要なため2ヶ月を切ると対応が難しくなります。
とりあえず2ヶ月あれば多くの式場が、空きがあれば受け付けてくれるでしょう。「空きがある」ということが第一になりますので、最短を希望する場合、すぐに直接会場に電話をして日程が可能か確認をしましょう。
予約に空きさえあれば、結婚式場は可能な限り受け入れようとしてくれます。おめでた婚は珍しくないため、急ぎの対応には慣れています。
場合によっては「直前割引」が受けられる場合があります。通常ごくシンプルな挙式プランで15~20万円、「衣装のグレードアップ」「写真アルバムの追加」などオプションをつけると、挙式だけでも30~50万円するのが相場です。
しかし、以下のように直前に申し込むことで、10万円以下で挙式が可能な「格安プラン」を用意している場合があります。
結婚式場は基本的に半年程度前から予約が入っていることが通常のため、2ヶ月前に空きがあると、もう予約は入らないものと考えています。
そのため、式場の一室を空いたまま遊ばせておくよりは、どんなに値段を下げてでも予約が入れば歓迎してくれるのです。一方のデメリットとしては、納期の都合で「希望したものが選べない」などの制約が出る可能性はあります。
準備期間が短くても短期集中でよい結婚式を迎えることはできます。手作りできるものを業者に発注したり、必要なものを人に借りたりすることもできます。ですから不安にならず早急に問い合わせを開始し、準備を進めてください。
最優先したいことは以下の通りです。
- 予約可能な式場を数件探し、訪問する
- 招待したい人をリストアップし、その人のスケジュールを確認する
まずは以上のことを行ってください。招待客のリストアップだけは、人の手を借りることはできないので早急に準備をしましょう。
それから、もう一つ大事なことがあります。予約の際に対応してくれた式場スタッフが、「あなたを担当するウェディングプランナーかどうか」を確認するとよいでしょう。別の人になる場合は、どんな人が担当してくれるのか聞いてみましょう。
もし担当プランナーが決まっているなら、契約の前に紹介してもらう方がより安心です。決まっていない場合は、例えば「経験豊富でしっかりした人をお願いしたい」など、あなたの希望を伝えてみましょう。
濃密な2ヶ月間を支えてもらうことになる、担当ウェディングプランナーとの信頼関係はとても大切です。
家族婚の場合は何ヶ月前から式場探しをするべきか
また、大人数の結婚式ではなく、家族とごく少数の人たちを招待したいと考える人がいます。招待客が30人程度の少人数ウェディングは全体の15%程度です。6~7組に1組はこのような小規模の結婚式を行っています。
費用や準備時間を抑えて、こじんまりと温かい結婚式を望む人は実際に多いです。そこで、家族婚の場合に必要な準備期間をみていきます。
家族のみの結婚式の場合、例えば両家で10名程度なら4ヶ月前、5ヶ月前でも大丈夫です。最短での結婚式を考えるなら頑張れば2ヶ月でも可能です。
家族のみの場合は出席人数がほぼ確定されていますし、人数が少ない分準備にかかる手間も少なくなります。
以下の写真は、実際の家族婚のテーブルです。通常のような新郎新婦の高砂席をあえて作らずに、全員でひとつのテーブルを囲むレイアウトです。
この婚礼では、1人のサービススタッフが受け持つ人数が少ないため、料理の食材などの説明が丁寧で、非常に質の高い配膳サービスとなりました。
また司会者を入れていたため、一人一人にインタビューやお祝いの言葉をもらったり、子供に一芸を披露してもらったりしていました。
この新郎新婦は、料理に通常の2倍程度ある金額の特別メニューを選び、ゆったりと家族とのひとときを楽しんでいました。派手な演出はないものの、ただの食事会とも違う和やかな家族婚でした。
少人数の場合、おすすめなのが平日の結婚式です。特に、チャペルなどの挙式会場は平日の稼働がほとんどありません。そのため割引も多く受けられる可能性があります。
私が実際に携わった平日の結婚式では、新郎新婦+両家の家族3人だけの結婚式がありました。チャペルの一列目に家族3人が着席するのですが、その日は後方の席に式場のスタッフが数名着席していました。
しかも、スタッフたちは新郎新婦が好きだという、ディズニーキャラクターの扮装をしてお祝いしていました。挙式後、中庭で鐘を鳴らす演出では支配人をはじめ、可能な限りの式場スタッフが集まり心温まる結婚式となりました。
どこの式場でもこのようなサプライズがある訳ではありません。しかし、平日ならではのスタッフのゆとりは、新郎新婦にとって嬉しいものだと思います。平日には金額だけでなく、このようなメリットがあります。
結婚式の式場選びは計画的に行うべき
このように様々な結婚式のパターンで、必要な式場探しをはじめる時期をみてきました。結果はおおむね6~9ヶ月前からはじめると安心して準備がスタートできます。
一方で、最短期間での準備を余儀なくされた方も、2ヶ月以上の期間があれば大丈夫なことがわかりました。
結婚式の式場探しで重要なことは、限られた時間を有効に使って、満足の得られる式場と出会い、予約をすることです。そのための選び方にも複数あることをお伝えしてきました。
また、結婚式場の中には残念なことに、一部ですが悪徳業者と言わざるを得ないような式場が実際にあります。実際に不本意な式場だとわかっても、泣く泣くそこで結婚式を挙げる人が一定数いる現状があります。全国の消費生活センター等に寄せられる「結婚式をめぐる消費者トラブル」は後を絶ちません。
そのような現状がある中、悪徳業者と契約しないことや、後から残念な思いをしないために、フリーのウェディングプランナーのことをお伝えしました。
大切なことはあなたが後悔しない式場選びを実践し、満足できる結婚式を迎えることです。納得しないまま安易に契約しないように注意して、よい結婚式場を見つけてください。