プロポーズを受け、お互いの両親へあいさつも済ませたふたりは、これからたくさんのことを話し合わなければなりません。中でも楽しみのひとつは結婚式場を決める相談ではないでしょうか。

婚礼をおこなう会場はたくさんあります。またブライダル雑誌には、きれいな建物・内装の式場が選びきれないほど掲載されています。一生一度の結婚式の会場はふたりやゲストにとってぴったりなところを選びたいものです。

しかし世の中には結婚式場の情報が多すぎて、何を基準に判断すればいいのかよくわからないと思われる方も多いのではないでしょうか。そんな未来の新郎新婦が、「会場探しに進む前に話し合っておくべきこと」を述べていきます。

結婚式前に話し合っておくべき5つのこと

式場探しの前に、おおむね決めておいた方がよいことを重要度の高い順にみていきましょう。

①結婚式を挙げる場所や立地

ふたりの出身地や、現在住んでいる場所が近くであれば決めやすいと思います。ただ、実家の場所が遠く離れていたり、ふたりの現在の住まいや職場も遠く離れていたりする場合、選択肢が多く悩ましい問題がでてきます。

この場合、結婚式の場所を選ぶ方法としては以下のものがあります。

どちらかの実家の近くで行う

片方の地元で行う場合、もう一方は距離が遠くなりますが、普段なかなか行かない土地に行くよいきっかけになると喜ばれることがあります。

このような場合、遠くから来てくれた人が帰りに立ち寄りやすい名所、さらには美味しい食べ物などを載せた手作りのガイドブックを用意するなど、情報をプレゼントすると喜ばれます。

どちらかの現在の住まい近くで行う

もし新郎が今の勤務先の仕事に、将来も携わっていこうという覚悟をされているなら、新郎の住まいや職場のある土地で行うことをおすすめします。新郎の上司や同僚に、たくさん出席してもらいやすくなるからです。

ふたりの中間地点の土地で行う

他には、中間地点の土地で行うという方法があります。

私が関わった結婚式の中で、以前に「鳥取県と福井県の新郎新婦で、大阪で結婚式を行われた方」がいました。こうした中間地点での結婚式では、どちらから来る人も距離的に出席しやすくなります。親族全員でバスをチャーターすれば誰かが迷う心配もありませんし、移動が楽です。

まったく別の土地で行う

いっそのこと、ふたりに縁もゆかりもないどこか遠くの場所にしようと、リゾート地で挙げる人もいます。よくある例として、海外で挙式を挙げるケースです。

海外ですと友人に来てもらうことは難しくなりますが、両家の両親と自分たちで旅行を兼ねて、リゾート婚を選ぶ人もいます。

それぞれの故郷で行う

また最近は遠距離のふたりが、それぞれの故郷で結婚式・披露宴を行うこともあります。つまり結婚式を2回行うのです。

新郎の故郷では、新婦側の列席者は新婦の家族のみです。新婦の故郷では、新郎側の列席者は新郎の家族のみです。両家の人数のバランスはとれないものの、来てくれる方が来やすい距離のところで行えるというメリットがあります。

列席者に遠方まで来てもらうことを、極力なくそうという配慮を優先した形です。その分、費用や手間は多くかかりますが、それぞれの土地柄を活かした演出をしたり、地元の伝統的なものを引き出物に選んだり、それぞれのカラーを打ち出したパーティにする方もいます。

例えば沖縄のカチャーシーや、徳島の阿波踊りなどは全員が参加して、独特の盛り上がりを見せます。

また、日本国内だけではなく、国際結婚をした方は日本とアメリカ、日本とトルコ、日本とイギリスなど、それぞれの国で行う人もいます。日本人と結婚する外国人の方は、日本での結婚式に神社で和装の結婚式を選ぶ方がとても多いです。

また、国際結婚をした方の挙式後のパーティでは新郎新婦が夫婦となって初めて踊る「ファーストダンス」や、食事の前に新婦の母が祈りの言葉を述べるなど、それぞれの異文化が混じり合い、心温まるパーティを多く見ました。

立地も大切にしよう

ふたりの地元が同じ場合、場所は決めやすいですが立地も大切です。例えば、遠方からの列席者が多い場合、空港や新幹線へのアクセスのよい、ターミナル駅直結のホテルが便利かもしれません。

まずは来てくれる方々が、道に迷うことなく会場にお越しいただけるよう配慮を考えましょう。そうしたうえで自分たちの好みのテイストやロケーションなどを含めて検討しても、選べる会場はたくさんあります。

②招待客の人数と予算の上限

次に招待客のおよその人数を設定しましょう。式場には1つの建物の中に、披露宴を行える宴会場を複数そなえたところもあります。部屋の規模を決めるにあたり、先に招待したい人の人数を考えておくことが大切です。なぜかというと、最適な広さの宴会場を選べるようにするためです。

先に宴会場を決めてしまうと、それに合わせて後から人数を部屋の広さに無理に合わせなければならなくなります。あまり親しくない人を招待しなければならなくなったり、心からお祝いに来てほしい人への招待をあきらめなければならなくなったりするのは非常に残念なことです。

そこで、およその人数を計算しておくことが大切です。最終的な人数というのは、本番当日にならなければわかりませんし、直前までは可能です。ただ、部屋の収容可能な人数はだいたい決まっています。

後々招待したい人が増えすぎた場合、部屋の大きさの問題で招待できなくなるのは残念なことです。また逆に少人数になった場合、スペースがありすぎてさみしい感じがするかもしれません。

それから、招待する人の関係性は、ある程度両家で揃えることが望ましいです。親族は何人くらい呼ぶのか、友人は呼ぶのか、職場関係の人は呼ぶのか、両親の知人は呼ぶのかなど、二人と両親も交えて話し合っておきましょう。

職場関係については現在の職場が基本ですが、あなたの気持ち次第で、前に勤務していた職場の方を招待してもかまいません。

しかしその場合は配慮が必要です。現在の職場の方がいる場で、スピーチや余興を前職場の方ばかりにお願いするのはよくありません。いま現在お世話になっている方を呼ぶのであれば、その方々をクローズアップするのが自然です。

もし、付き合いの長い前職場に思い入れが強い場合は、主賓のあいさつだけは現職場の上司にお願いしましょう。現職場の方を呼ばない場合は自由でかまいませんが、今の職場に将来長く勤務する考えがある場合、現職場の関係をより重視されるほうがよいでしょう。

上司の方の心情を考えると、主賓として招かれるということは、個人的にとても嬉しいことです。自分を慕ってくれているという証になるのです。好き嫌いだけで判断せず、将来を見据えて決めましょう。

費用の上限については、人数や親御さんの援助の有無、ふたりの貯蓄、新生活に必要な資金などをふまえて考えておきましょう。全国的な結婚式・披露宴の平均額は350万円ほどです。はじめは予算内であっても、素敵なアイテムや演出を目にすると夢がふくらみ、最終的な費用は増えていくことが多いです。

一部はご祝儀もいただけるので補てんにはなりますが、事前にご祝儀でもらえる金額を把握することはできませんので、あまりあてにしすぎないように準備を進めましょう。

会場の担当者から「当日、列席者からのご祝儀がありますので、費用がまかなえますよ」といわれても、うのみにするのは危険です。ご祝儀ですべてをまかなえる訳ではないと考えてください。

③開催する時期

続いて、結婚式・披露宴を開催する日程について考えていきます。

まず、大体の時期を決めましょう。このとき、「来年の秋の土日祝日に結婚式・披露宴を行う」などざっくりでかまいません。

その次に、「大安などのお日柄を気にする」「仏滅でも構わない」「仏滅だけは避けたい」などを考えておきましょう。自分たちは気にしない場合でも、年配の方の中には「なぜ結婚式・披露宴の日にわざわざ仏滅を選ぶのか」という人もいます。ふたりの常識まで疑われることもありますので慎重に考えましょう。

また、ふたりが出会った記念日や、新郎新婦どちらかの誕生日、両親の結婚記念日などで開催時期を判断してもいいです。中には数字の語呂合わせ(例えば12月12日の12時)までこだわる方もいます。

全てを満たすのは難しいので、いちばん優先したいことを整理しておきましょう。

④必要な設備

会場の建物に備わる機能的なことも考えておきましょう。例えば、車いすの方がいる場合、スロープや身障者用お手洗い、エレベーターの有無も重要です。高齢者が多ければ、館内の移動が楽にできるほうが望ましいでしょう。

他にも、ガーデン挙式や外での写真撮影などは、雨の場合には室内のエントランスや通路など、場所が変更になります。屋外の演出は開放的で憧れる方も多いですが、その場合は、雨のリスクについても覚悟しておきましょう。

⑤両親の意向

ふたりが若い世代であるほど、親御さんが介入されることが多くなります。資金援助を受けるのなら、なおさら両親の意向にも耳を傾ける必要があります。

両親とのすれ違いが多いものとして、挙式スタイル、引き出物、料理があります。両親によっては衣装や演出まで介入されることもあります。

特に挙式スタイルはデリケートな問題を含んでいます。

現在、日本で行われている主な結婚式のスタイルは4つあります。本来キリスト教徒の結婚式である「キリスト式」、神社や式場の神殿などで神官が執り行う「神前結婚式」、先祖のお墓のあるお寺や、有名な仏閣などで仏様に結婚を報告する「仏前結婚式」、参列者の前で新郎新婦が夫婦の誓いを立てる「人前結婚式」です。

人前結婚式を除いて、他の結婚式は宗教的な儀式になるため注意が必要です。日本にはキリスト教の信者が人口の約1%といわれていますが、キリスト式はその華麗で荘厳な雰囲気が人気で、とても多く行われています。そのため、抵抗のない方は多いです。

問題が多いのは、両家どちらかの両親、あるいは本人が新興宗教を信仰している場合です。新興宗教では他の宗教を認めない傾向が強いため、結婚式のスタイルに悩む新郎新婦が多いです。そういう点では、宗教色のない人前結婚式は無難であるため、消去法で人前結婚式が選ばれることがあります。

やみくもに会場見学に行ってはいけない

週末になると、いろんなホテルや結婚式場では「ブライダルフェア」といって、結婚式場を探している新郎新婦を対象にした見学会を催しています。また、たくさんのホテル、式場、ブライダルプロデュース会社が集まって、合同で大きな説明会のイベントなどを開いています。

このようなイベントの情報を目にすると、「デートのついでに遊びにいってみよう」と興味がわくことでしょう。また、中には結婚式・披露宴を早急に行わなければならない理由がある新郎新婦もいます。

例えば、妊娠中でお腹が大きくなる前に、結婚式・披露宴を行いたい方もいます。そのような人は会場を早急におさえることが必要です。それでも先ほど述べた、5つのポイントは考えてから行動しましょう。

式場はいったん契約を交わしてしまうと、よほどのことがない限り引き返すことができません。

これまで見てきた例ですと、女性で理系の学校の出身で会社に勤務している方は、友人や同僚のほとんどが男性であることが多いようです。新婦側のゲストが男性ばかりであることを、新郎側が受け入れられず人数がいつまでも定まらないことがありました。

このようなことがありますと、金額が定まらないことや、スピーチを誰にお願いするかなど、あらゆることが決められないまま時間が過ぎてしまいます。それだけでなく、本人が花嫁姿をもっとも見てほしいと思う方々を招待できないということは、結婚準備への意欲も下がります。

結婚式のような冠婚葬祭の怖いところは、不満足に終わったことが将来いつまでも尾を引くことがあるところです。

他には、披露宴に100人を超える人を招待したものの、チャペルの収容人数は60人程度で、結婚式は一部の人しか見てもらえないこともありました。

また、招待したい人が後々増えすぎて宴会場がせまくなり、サービススタッフが通りづらいことや、友人たちが余興を披露するスペースもせまく、十分なパフォーマンスがしづらいことなどよくあることです。

一度も経験したことのないことを、後悔のないようにするためにできることはたくさんあります。はじめに少しの労力を惜しまないようにしましょう。有益な情報をもとに賢い選択ができるように、冷静に考えていきましょう。自分たちのことは、最終的に自分たちで決めることが大切です。

ブライダルの世界は夢がいっぱいです。結婚式は一生に一度ということもあり、費用が膨らむ傾向が強いです。実際結婚式・披露宴では素敵なものもたくさん目にすることと思います。そこでブライダル会社は高揚感でいっぱいのとき、勢いで判断させようとします。これは、ひとつの営業戦略でもあります。

こうしたことを避けるため、急いで契約しないようにしましょう。冷静になるためには、両家と新郎新婦が何を必要としているのかを明確にしておくことが最も大切です。ブライダルではあなたの大切なお金と準備にかかる労力が最大限に活かされるような一日にしてください。