結婚披露宴に招待されたゲストが楽しみにしているひとつが料理です。日常の食事とは一味違う料理が食べられるとあって、ゲストの期待は高まります。

美味しいものを仲間と共に食べると、それだけで幸せなひとときになります。人間の基本的欲求の最たるものが食欲です。美味しい食べ物は「楽しい思い出の一日」に不可欠なものです。

そのため、料理の選択についてこだわりたいと考える新郎新婦が多いです。もちろん料理を提供するブライダル会場も、顧客の料理に対するニーズの高まりから、多彩なメニューやバリエーションを用意しています。

ただ、結婚披露宴には若い人から年配の方まで列席します。そしてひとりひとりに多様な味の好みがあります。ここからは、実際に結婚披露宴ではどのような料理が提供されているのか紹介します。そして、みんなに満足してもらえる料理選びをするために必要なことをお伝えしていきます。

ぜひ、二人らしさがあふれる最高のおもてなしを考えていきましょう。

結婚披露宴の料理を検討する

老若男女が集う結婚披露宴の料理は新郎新婦が事前に必ず試食し、ゲストの顔ぶれに合う料理内容を検討しましょう。また料理の種類や内容だけでなく、味や見た目も満足してもらえるかどうかしっかりと確認しましょう。

同じ種類の料理にも複数のプランがあり、価格帯が違ってきます。また決まったプランの料理のうちの一品や二品のみをグレードアップすることが可能なところが多くあります。

料理の種類はフレンチ、和洋折衷、日本料理、中華料理、イタリアンなどです。形式としては、着席でのフルコース料理や、立席パーティーでのビュッフェスタイルなどがあります。

ここからはもっとも多いフレンチの料理内容をみていきます。

披露宴の料理の種類で主なもの

結婚披露宴ではフレンチのフルコースがもっとも多くみられます。全体の半数以上を占めるほど披露宴では一般的な料理です。続いて多いのが和洋折衷や日本料理です。

フランス料理の一般的なフルコースメニューの一例

・アミューズ

アミューズとは日本でいう「つきだし」のようなものです。

前菜の前に提供される一品、もしくは二品の場合もあります。食事の最初のお楽しみといった料理です。見た目も楽しめる美しい料理が登場することが多いです。

・オードブル(前菜)

西洋料理で、食欲を促すための軽い料理のことをオードブルといいます。オードブルは一品の場合があれば、セカンドオードブルや温前菜などが続けて出ることもあります。

・スープ

下の写真はポタージュですが、ほかには琥珀色の澄んだコンソメスープなどが定番です。また、甲殻類を煮込んで作られるビスクや冷たいスープなどさまざまな種類のスープがあります。

・魚料理

鯛や舌平目、スズキ、オマール海老などがよく見られます。ソースや付け合わせなど含めるとさまざまな魚料理があります。

・お口直しのシャーベット

・肉料理

牛フィレ肉のステーキや、ローストビーフが定番です。中にはトリュフやフォアグラなどの高級食材がのっている場合もあり、メインディッシュはとても豪華な一品です。

・デザート

デザートと一緒にウェディングケーキが提供されることがあります。

和洋折衷のメニューの一例

・御祝儀肴

紅白鯛膾 鈴子 白海老真砂和え 鼈甲 昆布巻 つの字海老 梅麩 黒豆

・御椀物

蟹真丈 清汁仕立 紅白水引大根・人参 鶴菜 亀甲椎茸 柚子

・御魚理

鯛のパイヤッソンとラタトゥイユ ラビゴットソース

・梅酒のグラニテ

・御肉料理

牛フィレ肉のロースト トリュフ風味のマッシュポテト 赤ワインソース

・御食事

鯛赤飯 鰹出汁香る銀餡かけ

・季節のデザート

フロマージュブランとホワイトチョコムース爽やかな酸味のフランボワーズアイスを添えて

・コーヒーと小菓子

和洋折衷は洋食と和食が両方食べられることから幅広い世代の人によろこばれる料理です。結婚披露宴は老若男女が集う祝宴ですので、さまざまな年齢層を考慮し和洋折衷を選ぶ新郎新婦は多いです。

日本料理のメニューの一例

メニューの漢字表記が難しいですが、婚礼の際はおめでたい当て字で書かれていることが多いです。

・御箸染め

季節の豆腐

・御祝儀肴

小鯛姿焼き

・御作里

お造り盛り合わせ

・御椀盛り

季節の煮物椀

・御家喜物

旬魚の焼物 

・御多喜物

季節の焚き合わせ

・御寿乃物

季節の酢の物

・御飯

お寿司盛り合わせ

・御汁物

赤出汁

・御美寿物

季節のデザート

料理の価格帯について

料理の価格は1人前で6,000~25,000円くらいが一般的です。ずいぶん幅広いですが、人によりベーシックなランクを選ぶ人がいれば、メインの料理のみグレードアップさせるなど、それぞれの考え方を取りいれる人も多くいます。

特別メニューの対応について

中には、二人の出身地にちなんだ食材を使ったり、実家が農業をしている場合に野菜を持ち込んだりする人もいます。しかし、これらのことは会場によって対応がさまざまですので個別に確認が必要です。

食物アレルギーについては大抵の会場が対応してくれます。アレルギー食材を省いたり、別の食材に差し替えたり、別のメニューに変更します。

多いアレルギーは、卵、小麦粉、エビ、カニ、そば、キウイなどです。料理に含まれていなくても、調味料に含まれている可能性もありますのでホテルなどでは徹底して対応しています。アレルギーが重篤な人は、生命の危険につながる場合もありますので、招待する方のアレルギーの有無をしっかり調べて会場に伝えるようにしましょう。

ほかには、減塩メニューや、病気により医師から禁止されている食べ物を別のものに変更するという対応も可能な会場があります。そのため、列席者に対象の人が含まれる場合は細かく配慮することを考えながら料理の打ち合わせを進めましょう。

飲み物のプラン

結婚披露宴の飲み物はフリードリンク制が安心です。ドリンクメニューの中の飲み物であれば、いくら飲んでも料金が一定です。フリードリンクにもランクがある場合もあります。

フリードリンクは、一人3,000~5,000円が一般的です。プラン外のドリンクの注文があった場合、その分だけ後払いで追加料金を支払うことで対応できるところがあります。

通常のプランの中に日本酒やウィスキーが含まれていないことがありますので、お酒が好きな方が多い場合は、対応できる方法を会場と相談してみましょう。婚礼の楽しい宴で、自分の好きなお酒を思う存分楽しんでもらうことは、その方への何よりのおもてなしになるからです。

中には、ワイン好きの上司のために特別なワインを数本持ち込んだ新郎新婦もいます。

また、披露宴の飲み物とは別に「ウェルカムドリンク」を用意する人がいます。ウェルカムドリンクは披露宴前の待ち時間に待合スペースなどで提供される飲み物のことです。ないと失礼にあたるというものではないので、ウェルカムドリンクを出すかどうかは新郎新婦と両家の考えで自由に決めて問題ありません。

真夏の婚礼などでは、開始前に飲み物のサービスがあるとゲストにとってはうれしいサービスになることでしょう。

料理にまつわる演出いろいろ

デザートビュッフェ

デザートビュッフェとは、オプションでデザートだけを自由に選べるビュッフェスタイルにするというものです。デザートコーナーを中庭に設けたり、新郎新婦がエプロン姿でケーキを配ったりちょっとした演出を入れる人もいます。

デザートビュッフェを希望する人は、会場が対応しているかどうか確認しましょう。

また、場合によっては以下のような演出が可能です。

新郎の料理ショー

日ごろあまり料理をしない男性にあえて料理を披露させる演出があります。慣れない手つきで一生懸命料理をする新郎の姿は、ゲストの記憶に残る楽しい演出のひとつです。

レストランなどの演出で「シェフと新郎による料理対決」や「新郎とお父さんによる料理対決」などを提案してくれるところもあります。例えば、みんなの見ている中、チャーハンづくりに挑戦してゲストや新婦に試食してもらい勝敗を決めるというゲーム感覚の演出はとても盛り上がります。

また新郎新婦がプロの料理人や菓子職人などをしている場合に料理の実演をして、ゲストにふるまう演出も楽しいものです。プロの手つきと表情の新郎新婦の姿をはじめて見る人も多いため、とても印象的な場面になります。

シェフによる料理説明

普通、キッチンの中にいてゲストの目に触れることのない料理長やシェフが披露宴に登場し、その日のメニューを紹介することがあります。レストランウェディングやゲストハウスでよく見られます。

実際にコック服を着たシェフが登場して、よりいっそう美味しく召し上げってもらえるように料理の内容を説明します。そうすることで、ゲストの料理への期待が高まります。またシェフから新郎新婦へのお祝いの言葉なども添えてくれたりすることもあり、会場全体がアットホームな雰囲気になります。

どこまで対応してくれるかどうかは分かりませんので、希望する人は会場に聞いてみましょう。普段は行っていないところでも、新郎新婦のたっての希望ということで個別に対応してもらえる可能性もあります。

究極のおもてなし料理プリフィックス

結婚披露宴の料理といえば、基本的に全員のメニューが同じというのが大半です。

そのような中「プリフィックス」とは、結婚披露宴の料理を食べる列席者が数種類あるメニューの中から「自分の好きなものを選んで独自のコース料理を食べることができるシステム」のことをいいます。

例えば「オードブル」「スープ」「魚料理」「肉料理」がそれぞれ三品あり、その中から好きな一品を選ぶというコース料理です。

料理の選び方は、招待状を送る際に料理のメニュー表が同封されており、食べたい料理を事前に選んで返信はがきを送ります。そうすることで、当日それぞれの人が選んだ料理が提供されるというスタイルです。

プリフィックスの最大の魅力は、より好きなものを食べることができることです。例えば、魚料理の場合「鯛」「伊勢海老」「ホタテと蟹」の三品から選べるとしたらいかがでしょう。苦手なものが含まれていれば避けることもできますし、いちばん好きなものを選ぶこともできます。

もちろん価格はそれなりに高くなり、一人分の料理代金が25,000円以上になることがあります。また、対応している会場は非常に限られています。なぜなら、多くの食材の仕入れと調理の手間、一人一人に間違いなくスムーズに料理を提供する配膳のノウハウも必要だからです。

もし興味のある方は、まずプリフィックス対応可能を最優先に会場を探し出し、その中から披露宴会場を選ぶ必要があります。

もしくは、フリーで活動しているウェディングプランナーに相談してみることをお勧めします。あらゆる婚礼会場の情報をもっているフリーのウェディングプランナーに一括して相談することで、効率よく希望の会場が見つけられます。

そのようにフリーのウェディングプランナーを活用することで、新郎新婦は披露宴の中身の準備によりたくさんの時間や労力を使うことができます。

新郎新婦は披露宴の料理を食べることができるのか

せっかく「心を込めて準備してきた料理を自分たちも楽しみたい」という新郎新婦がいます。一方、ゲストの方への「おもてなしに徹するため自分たちは食べられなくてもかまわない」という新郎新婦もいます。どちらの考え方がよいとか悪いということはありません。

ただ、自分たちも披露宴中に料理を食べたいというのであれば、披露宴の進行内容にある程度多めに「歓談」の時間を入れましょう。歓談があまりなく演出や余興が盛りだくさんの進行内容にしてしまうと、主役の新郎新婦はどうしても食べる時間がなくなってしまいます。

そのような問題をあらかじめ考えて対応している会場も中にはありますが、すべてではないので気になる人は確認しましょう。

例えば、「おもてなし重視」の考え方の会場では、新郎新婦の料理は最初の1品だけにして、魚料理、肉料理などは当日出さずに後日「アフターディナー」として二人だけで会場に改めて食べに行くというサービスをしているところがあります。他には披露宴終了後に控室で新郎新婦にゆっくり料理を食べさせてくれる会場もあります。

やはり、新郎新婦はとても忙しいので、全メニューをしっかり完食することはなかなか難しいです。そのことは頭においておきましょう。そのため控室にサンドイッチなどの軽食を準備することを勧める会場もあります。

料理やドリンク選びで大切なこと

料理のメニューやドリンクだけでも実にさまざまなプランやオプションがあり、考えなければならないことがたくさんあることが分かります。

人の味覚や、普段どんな食事をしているかは千差万別です。そのため選ぶときに迷うことも多いと思いますが、一人一人をイメージしながら精一杯考えてみましょう。会場はさまざまな顧客に対応してきたプロですので不明なことは積極的に相談してみましょう。

そして、必ず試食をしてから決めるようにしましょう。年配の人の好みがわからない場合は親御さんに聞いてみましょう。中には親御さんも一緒に試食できることもありますので、可能な場合は親御さんにも試食をしてもらいアドバイスをもらいましょう。

披露宴終了後に新郎新婦がゲストにいわれて嬉しい言葉のひとつが「美味しかった」ではないでしょうか。かけがえのない瞬間に人の心を柔らかくするような、とびっきりの料理で感謝の気持ちを伝えてください。