結婚が決まってから、結婚式・結婚披露宴を迎えるまで、いったいどのくらいの準備期間が必要でしょうか。はじめて行う大イベントはわからないことばかりです。毎日忙しい二人が無事に準備を進めていけるのかなど、さまざまな不安をもつ人が多いのではないでしょうか。

結婚式を「とりあえず挙げられれば何でもよい」などと考える人はいません。それぞれの夫婦に夢や希望があります。希望を叶えるためには、ある程度の準備期間が必要です。あまりにも準備にかける期間が短すぎると、気持ちが焦ったり、失敗やミスが発生したりしやすくなります。

婚礼は、やり直しのできない一度きりのセレモニーですので、間違いのないように準備を進めたいものです。気持ちはあるのに準備不足で、気配り・心配りが表現できないと後悔が残ってしまいかねません。

実際には、最短で2~3か月の期間で準備をする人もいます。このような人の多くが「マタニティ婚」「授かり婚」「おめでた婚」と呼ばれる「新婦が妊娠中」であるケースです。お腹が目立ってくる前に、夫婦のお披露目をしてけじめをつけようと考える人は、最短期間で結婚式を挙げます。

しかし、妊婦でない人や、子どもを出産した後でゆっくり準備をしたいと考える人は、ぜひ早めに結婚式・披露宴の準備をスタートさせましょう。

そこで、余裕のある結婚式・披露宴の準備期間とは具体的にどのくらいの期間なのかについて説明します。そして、実際にどのようなスケジュールで進めていけば安心できるのかについてお伝えします。

ぜひ、気持ちに余裕をもって準備を開始し、思い出に残る一日を迎えてください。

余裕をもって進めたいなら、準備開始は8~12か月前から

一般的に、結婚式・結婚披露宴の準備で余裕をもって進めたいなら、8~12か月前からスタートするとよいでしょう。平均的には6か月ほど前から準備を始める人が多いようです。

余裕をもって準備を進めるメリットは「情報収集がじっくりできる」「人気会場を押さえやすい」「希望のお日柄を押さえやすい」などです。

ただ、結婚式・披露宴の理想的な準備期間は新郎新婦の性格によってさまざまです。人によってはあまり先延ばしにせず、短期集中で一気に婚礼の準備を行うほうが性に合う場合もあります。また、準備期間が長いといろんなことを考える時間が多くなるため、人によってはあれこれ悩みすぎてマリッジブルーになりやすくなる場合があります。

婚礼はホテルや結婚式場、またはブライダルプロデュース会社などに依頼する人がほとんどです。準備期間の短い人から長い人まで、年中対応しているのが婚礼の専門家です。

それぞれの準備期間に合わせて相談やアドバイスがしてもらえますので安心してください。

数か月~約一年にわたる準備期間の間には特に集中して決断しなければならない事柄があります。それは「婚礼会場・プロデュース会社の決定」「招待状の手配の準備」「ラスト1か月の最終準備」です。このように、集中する時期、リラックスする時期と緩急をつけてあまり疲れすぎないように工夫をしながら進めましょう。

婚礼の準備の段取りとスケジュールの全体像を把握する

ここからは、具体的な結婚式・披露宴の準備の流れを把握していきます。比較的余裕をもって進める場合のプランを紹介します。準備期間が短い人の場合でも、考える事柄や、決断しなければならない内容は基本的に同じです。その場合は、少しずつ間を詰めてスケジュールを把握してください。

また、婚礼の準備と並行して、人によっては「入籍」「新居の段取り」「引っ越しの準備」「二次会の準備」「ハネムーンの準備」などが必要になってきます。いろんな準備が重ならないように段取りよく進めましょう。

このように、たくさんの準備を日常の仕事をしながら進めていくことになります。早めに計画を立てることで焦ったり、疲れたりすることを極力少なくしていきましょう。幸せになるための婚礼の準備に無理をしすぎることは本末転倒です。

8~12か月前(情報収集の期間)

結婚情報誌やインターネットで情報を集め、さらには結婚式を挙げた経験者が周りにいれば話を聞いてみましょう。婚礼の準備のスタートにあたって、わくわくする気持ちを大切にしてください。

そして、素敵な写真やイメージに合うアイテム、何となく心惹かれるものがあればピックアップしておきましょう。この段階では大雑把なイメージだけでも大丈夫です。こうすることで、自分たちの趣味嗜好が少しずつ明確になっていきます。より満足度の高い婚礼にするための後々の判断材料になります。

6~8か月前(検討する期間)

ここからは少しずつ具体的な検討に進みます。

・挙式のスタイルを検討する

結婚式はキリスト式、人前式、神前式、仏前式、その他のスタイルなど、どの挙式を希望するのか考えましょう。また、海外挙式を希望する場合は、二人だけで行くのか、家族や友人にも参列してもらうのか検討しましょう。

ただ、海外で行う場合は、あまり多くの人に来てもらうのは難しい面が多いため、少人数で行うことが多いです。

・披露宴を検討する

挙式と披露宴を同じ建物で行う場合があれば、挙式後に別会場へ移動して披露宴を行う場合もあります。また披露宴会場としてホテル、ゲストハウス、レストラン、その他の会館、どのような場所を希望するのか考えましょう。

ホテルのよさは、宿泊施設を備えていることや、駅からのアクセスの良さなどがあります。また、空間がゆったりしていることに加え、館内に美容室や喫茶室があるなど、あらゆる施設を備えている利便性があります。

ハウスウェディングは、一軒家を貸切って優雅なひと時を過ごせることから人気があります。また、料理で個性を発揮できるレストランウェディングなどがあります。

そのほか、オリジナリティあふれるスタイルとしては、船上パーティや、自然の中で行うガーデンウェディングなどがあります。また、海の美しい場所や、高原などで行うリゾートウェディングなら新婚旅行も兼ねることができます。

このように、挙式・披露宴といっても非常に多種多様なスタイルがあります。もし、個性的なウェディングも含めて検討したい場合は選択肢が多いため、調べるだけでも非常に手間がかかります。

そのような人は、特定の会場に見学に行く前に、フリーで活動しているウェディングプランナーに相談するのがおすすめです。あらゆるオリジナルウェディングに対応してくれますし、二人の希望を聞きながら幅広い提案をしてもらえます。

また、ホテルやゲストハウス、レストランを希望する場合でも、フリーのウェディングプランナーにプロデュースを依頼することには、メリットがあります。既存のプランをカスタマイズするウェディングではなく、完全オリジナルのプランを一から一緒に考えてもらえます。そのため、挙式・披露宴に強いこだわりをもつ人には特におすすめです。

・日取りを検討する

希望の季節や、曜日のほかに「大安」「友引」などの「六輝(ろっき)」と呼ばれる、お日柄を重視するかどうかを検討しましょう。

もともと「六輝」は中国から伝わった占いがもとになっており、それが江戸時代に日本に伝わったものといわれています。そのため、本来こだわる必要のないものですが、実際に現代でもお日柄を気にする人はいますので、親などに相談してみましょう。

ほかには、結婚式・披露宴に勤務先の人を招待する場合は、勤務先の繁忙期は避けるようにするほうがよいです。また時間帯も招待する人の多くが参加しやすい時間帯を考えてみましょう。

このように、自分たちの都合だけではなく、来てもらう人たちにもできる限りの配慮をすることが大切です。

・招待人数を検討する

おおよその招待客の人数を検討しましょう。誰を招待するのかを決めることはとても重要です。呼びたい人をすべて呼ぼうとすると人数が多くなりすぎてしまいますので、先にある程度の規模を決めてから人数を検討しましょう。

招待客数は、50~80名くらいがもっとも一般的です。30人未満の少人数の場合や、100名を超える人数の場合はある程度の人数を検討してからでないと会場が決めにくくなります。なぜなら、婚礼会場の部屋の収容人数には制限があるからです。そのため、人数の検討と調整は早いうちから考えはじめましょう。

人数が多い場合、二部制の披露宴にするという方法があります。午前中に親族中心の披露宴を行い、そのあとで友人関係を招いた披露宴を行うといった形です。一部と二部それぞれの招待客に合わせたおもてなしが可能です。

・予算を検討する

人数がある程度決まってくると予算が見えてきます。婚礼にかかる予算は、平均350万くらいです。しかし、規模の大小によって違います。さらに、親の援助の有無などによっても違います。そのため、二人がどの程度の金額を負担する必要があるのかについては人それぞれです。

自分たちが負担する金額が不足している場合はローンを組むことも可能ですが、できれば避けたいところです。そのため、早めに婚礼の準備をはじめて、二人で協力しながらより多く貯金することを考えましょう。

また、当日はご祝儀での収入がある場合もありますが、どのくらい見込めるかわかりません。しかし、結婚式の費用は基本的に前払いですので、事前にまときった現金が必要です。

あらかじめ、結婚式・披露宴にあてられる金額を話し合っておきましょう。実際に婚礼にお金をかけすぎたことが原因で、新しい生活が苦しいスタートとなり夫婦仲に影響してしまうことがあります。

結婚には、結婚式だけでなく、新生活の費用や、新婚旅行、結婚指輪などたくさんの費用が必要です。二人でよく話し合って検討しましょう。

結婚式・披露宴に、あまり予算をかけすぎると新生活が圧迫されます。しかし、一生一度のセレモニーを節約しすぎることは、後悔が残ることになるかもしれません。無理をしすぎないことと、こだわりの部分には思い切って予算をかける、そのバランスを上手にとりましょう。

6か月前~(決定・実行する期間)

ここからは、先ほど上記で検討したことを決定していきます。具体的に準備を実行していく作業に入ります。必要な手配物、準備物の申し込みをしたり、用意をしたりします。また、自分で手作りするものは製作します。

とはいっても、段取りの仕方などは基本的に婚礼会場やプロデュース会社のウェディングプランナーがひとつひとつ説明をしながら、確認をとってくれます。「いつまでに、どんなことを決める必要があるのか」という宿題が出ますので二人でじっくり考えましょう。

中には、大きな金額が動く決断を、何度か迫られることになります。そのような場面で気疲れしないためにも、あらかじめ、予算を検討して臨むことが大切です。

会場を押さえ、日程を決め、申し込みの手続きをしたら、具体的な打ち合わせがスタートします。

・招待状の作成・発送

招待客のリストを作成し、招待状を作ります。婚礼会場に依頼して印刷業者に手配をしてもらうことができます。また、招待状をはじめとしたペーパーアイテムは自分たちで作成することも可能です。

手作りが得意な人は費用を抑えらたり、オリジナリティがだせますので、ぜひ取組んでみましょう。ただ、自分で作ることに自信のない人は、仕上がりの質や手間がかかることを考慮してよく考えましょう。

招待状は結婚式本番の3か月前くらいには用意し、2か月前くらいに発送します。そして1か月前までに、出欠の返信をもらうのが一般的です。

・料理を決める

披露宴で出す料理の内容を決めます。試食してゲストの気持ちを考えながら決めましょう。

・披露宴の配席を決める

招待人数が確定したら、誰にどの席に座ってもらうか決めます。配席にはいくつかルールがあります。基本的に職場の上司はいちばん新郎新婦に近い前のテーブルです。家族はいちばん末席が一般的です。配席は序列や順番に関わるため、とても重要です。そのため、ウェディングプランナーにアドバイスをもらいながら、慎重に決めましょう。

また、マナーの側面だけでなく、ひとりひとりの参加者が居心地よく過ごしてもらえるように配慮しましょう。車イスの人はいないか、ベビーベットや子供イスは必要かどうか確認しましょう。

また、一人で参加してもらう友人がいる場合は、本人が心細い思いをしないように、同じテーブルにどのような人が座っているのか伝えるなど配慮をしましょう。

席が決まったら「席次表」という配席表を用意する人もいます。必ずしもないといけないものではありませんが、印刷して自分たちで手作りする人もいます。招待された人たちは、自分たち以外にどのような顔ぶれが参加しているのか興味深くみています。ですので、席次表はあると喜ばれることが多いと思います。

以下が、席次表の例です。

席次表に新郎新婦の簡単なプロフィールや、料理のメニューを記載することもできます。実際に席次表を一生懸命見ている招待客はとても多く見受けられます。

・衣装、装花などを決める

衣装店に試着に行き、希望の衣装を探します。また、会場内に飾る花の打合せがあります。花は披露宴の雰囲気やイメージに大きく関わるものですので、二人のコンセプトに合わせた花を楽しみながら選びましょう。

・披露宴の進行内容を決める

披露宴のプログラム・構成をウェディングプランナーが作成してくれます。自分たちの希望をしっかり伝え、満足のいくプログラムを作ってもらいましょう。ぜひ、遠慮せずにやりたいことを伝えて、納得できる内容で当日を楽しみましょう。

1か月前~本番直前(最終確認の期間)

司会者との打合せ、リハーサルメイク、衣装サイズの最終確認、引き出物や料理の最終確認、受付周りの飾りつけの小物の用意、手伝ってくれた人への車代などの用意、花嫁の手紙の用意、映像の用意など、ラストスパートです。中にはエステで顔や身体のお手入れをする人もいます。

心を込めた準備はゲストに伝わり、労力は必ず報われる

たくさんのことを検討し決定し、準備を進めることは大変労力のいることです。ここまでくる道のりの途中では、二人がケンカすることもあるかもしれません。準備に疲れて「結婚式なんて、早く終わってくれればいいのに」という心境になることもあるかもしれません。

あらゆることを乗り越えて、二人は結婚式当日を迎えます。緊張感と楽しみな気持ちに包まれて、いよいよ幕があがります。そこには、自分たちを支えてくれた人たちの顔、大好きな友人の顔、家族の顔があります。そんな人たちが一堂に集まり、自分たちを笑顔で祝ってくれる光景は一生の思い出になるはずです。

「大変だったけど、一生懸命準備してきて本当によかった」と心から思える瞬間が必ずやってきます。どうか、その日を楽しみに準備を進めてください。

何もかも二人だけで抱える必要はありません。身近な仲間もいるでしょう。そしてウェディングプランナーをはじめとした多くの専門スタッフがついています。

ですから、結婚式・披露宴の成功のカギになるのは「希望を素直に伝えること」です。疑問や不安を感じたらそのままにせずに解消することが大切です。そして、二人らしい結婚式を迎えてください。